2024年11月23日(土)に、ヴィノテラスワインスクール主催の「ヴィノテラス ブラインドテイスティングカップ(通称:ヴィノカップ)」予選が開催されました。
第4回となる今回は総勢250名が参加。
参加人数は年々増加しており、現時点ではに日本で2番目に大きな大会となっています。
ちなみに1番大きいのは、夏に行われる日本ソムリエ協会主催のブラインドテイスティングコンテストで、2024年の参加者は550人程度です。
ソムリエ協会のコンテストがインターハイ、ヴィノカップがウィンターカップのようなイメージですね。
今回は実際に予選に参加した私が、予選の様子を生々しくお伝えします。
真剣勝負中だったから写真を撮っていないので、文字だけでお届けするよ!
ヴィノテラスブラインドカップとは?
オンライン特化のワインスクールヴィノテラスワインスクールが運営する大会です。
スクール自体がオンラインということもあり、なんと予選もオンラインで行われます。
正体不明のワインが、小瓶に入って6種類(50mLずつ)送られてくるため、全てについてテイスティングして解答していきます。
最も得点の高かった上位8名が決勝に進出となります。
ヴィノテラスワインスクールとは?
前述したようにオンライン学習でソムリエ・ワインエキスパート講座、エクセレンス講座、趣味として楽しむ講座などを展開しています。
他のスクールにはない特徴なのが、ソムリエ・ワインエキスパート合格者向けの講座としてブラッシュアップ講座、さらなる学習の場としてマスタークラス講座が用意されている点。
ソムリエ・ワインエキスパート講座 ⇒ ブラッシュアップ講座 ⇒ マスタークラス講座 ⇒ エクセレンス講座 という学習の道筋が用意されているため、毎年着実にレベルアップできますよ!
ワインエキスパート資格取った後は、目標を見失いがちなんだよね。
資格取得後のレベルアップ方法が明確になっているので、燃え尽き症候群を防ぐことができます。
そしてヴィノテラスワインスクールは、ワインのイベントにも力を入れています!
その目玉が、毎年冬に開催されるヴィノカップ!
参加費6,600円で、優勝すると20万円+高級ワインを獲得できます。
日本を代表するハイレベルなテイスター達も多数参加するため、腕試しにも最適ですよ。
なお、ヴィノテラスにはブラインドテイスティングの講座も準備されているため、大会に向けてのトレーニングにも困りません。
ヴィノカップ予選 挑戦方法
ヴィノカップ予選はオンラインで行われるため、日本全国で挑戦することができます。
挑戦する手順を簡単にまとめます。
Zoomと回答フォームの準備をする
私はスマホでZoomに入りつつ、PCで回答を記入することにしました。
回答自体はほとんど選択式なので、スマホやタブレットで入力しても問題ありませんが、1台のスマホでZoomと回答を両方行うのはおすすめしません。
なぜなら、もし回答途中でブラウザを閉じてしまうと、その時点で得点が0点になってしまい再挑戦もできないから。
誤操作でブラウザを閉じることは避けたいため、Zoomとの切り替えを行う動作はやめておくのが無難です。
しかしZoomと回答フォームを何度も行ったり来たりする必要はないため、どうしてもスマホ1台しかない場合は1台で進めても問題ありません。
そのほか、電子レンジによるWi-Fi落ちなどでも失格になるので注意しておきましょう。
できればWi-Fiよりも有線やモバイル通信が安心。
ワインやグラスの準備をする
グラス6脚を準備し、予選開始までにワインを注いでおきます。
ワインの温度管理は各自にゆだねられているため、自分が普段練習している温度で回答ができるよう、時間を計算して温度管理をしておきましょう。
開始直前にグラスに注いでも良いですが、10~15分前に注いでおくのがおすすめです。
小瓶に移し替えてしばらく置いたワインはやや風味が変わっていることがあり、少し空気に触れさせた方が本来の風味を感じやすくなるからです。
ワインの状態管理もテイスティング能力のひとつだね。
回答フォームに入力する
回答フォームに品種・生産国・収穫年を選択式で入力したあと、原産地呼称を記述式で記入します。
2024年度の配点は品種5点、生産国4点、収穫年2点の計11点。
原産地呼称は加点対象にはならず、同点の人がいた場合のみ原産地呼称の正解率で優劣を決めます。
回答時間は当初50分とアナウンスされていましたが、開始直後に「急遽40分に変更します」とのこと。
しかし二次試験のようにテイスティングコメントを書くわけではないので、時間が足りなくなる心配はありません。
誤操作に気を付けて、落ち着いて回答しよう。
結果集計後 勝利者インタビュー
結果の集計が終わると、予選通過者が即座に発表され、勝利者インタビューが行われます。
注意してほしいのが、もし予選通過した場合でも勝利者インタビューに応対できなければ取り消しとなる点。
回答が終わったからといってのんびり休憩していると、うっかり勝利者インタビューを忘れて失格ということもあり得ます。
しっかりと最後まで参加しよう!
ヴィノカップ決勝戦
決勝戦は東京のリアル会場で行われ、2024年は赤坂で開催。
15~17時に決勝戦、18時からは決勝に出場した選手を囲んで立食パーティーが行われます。
決勝戦と二次会に参加可能であることも決勝に挑戦する条件のひとつであるため、当日は夜までしっかりと予定を開けておきましょう。
遠方から参加する場合、宿泊先を取っておこう。
私は地方在住のため、決勝に出場する気マンマンで予選前にビジネスホテルを押さえておきました。
いざ!予選のワインをテイスティングした!
ここからは私の挑戦結果を公開します。
はたして予選通過できたのか・・・!?
ファーストアンサー
まずは全体を一巡し、あたりを付けていきます。
品種 | 生産国 | 収穫年 | |
白① | リースリング | ドイツ | 2021 |
白② | シュナンブラン | フランス | 2022 |
白③ | シャルドネ | 日本 | 2022 |
赤① | メルロー | フランス | 2018 |
赤② | シラーズ | オーストラリア | 2020 |
赤③ | サンジョヴェーゼ | イタリア | 2018 |
白①:リンゴの香りが中心にあり、花の香りは弱い。しかし飲み込んだあとにわずかに若干ハチミツっぽさがあったのでリースリングと予想。
花の香りがかなり弱く色も淡いので、酸味の強さからアリゴテなどの可能性も残しておく。
白②:柑橘が主体の香りだが、ややカリンっぽさもある?酸味が強いため一旦シュナンブランに。
しかし後味にやや苦味?旨味?を感じるため、ミュスカデやピノグリも候補に残しておく。かなり自信が無いのであとから考える。
白③:木樽の香りが強く、アメリカンオークのラクトン系よりはグアイアコールっぽさが優勢。フレンチオークの方が多そう。果実はリンゴなどが主体で、ストーンフルーツの香りは取れない。
樽のあて方は新世界っぽいが、味わいは優しい酒質なので温暖すぎない場所か。酒質を頼りに日本のシャルドネにしつつ、南アフリカの冷涼産地も候補に残しておく。
赤①:色はやや濃いめのガーネットで、エッジは褐色がかっている。ブルーベリーからカシスぐらいの果実感で、あまり強くはないが黒系果実中心。
ピラジンも感じられ、ボルドー サン・テミリオンのメルローと予想。割と自信ある。
赤②:まず色が相当に濃く、エッジの紫みもある。粘度も高いためオーストラリアシラーズを真っ先に疑う。ただしユーカリの香りが感じられない。どうしても感じられない。
変わりに茎っぽさや漢方的なスパイスのニュアンスが強い。一旦シラーズとするが、カベルネとも思えないし再考することにしておく。
赤③:向こうが透けて見えるくらいの明るさで、発展的な色調。香りは焼けたゴムがかなり強く、若干イチジクを感じるが、硫黄っぽさが邪魔して他の香りが取れない。
酸味は強めだが、タンニンがかなり弱い。色調がネッビオーロにしては濃くタンニンもマイルドなためネッビオーロは外し、サンジョヴェーゼとしておくが、ちょっと自信がない。
ファイナルアンサー
ワインは時間によって香りが変わってくるため、私は必ず二巡してから最終回答をするようにしています。
品種 | 生産国 | 収穫年 | |
白① | アリゴテ | フランス | 2022 |
白② | ピノグリ | イタリア | 2021 |
白③ | シャルドネ | 南アフリカ | 2022 |
赤① | メルロー | フランス | 2018 |
赤② | クシノマヴロ | ギリシャ | 2020 |
赤③ | マスカット・ベーリーA | 日本 | 2021 |
白①:リースリングにしては香りが弱すぎる、特に花の香りが弱い。果実も柑橘からせいぜいリンゴくらいまでの種類しかない。
後味のハチミツっぽさは若干気にかかるなるが、リースリングにしては余韻がかなり短いため、アリゴテに変更。
白②:味わいを取っていくと、やはり後味の苦味?うまみ?が強い。苦味と捉えられたため、香りと酸のバランスを考えてピノグリに変更。
アルザスっぽくはないため、北部イタリアのピノグリに。
白③:シャルドネで変更ないが、樽香が日本にしては強すぎる気がする。産地だけ南アフリカに変更。
赤①:何度テイスティングしてもボルドーのメルローに感じる。変更なし。
赤②:香りから茎っぽさや醤油っぽさが若干あり、ユーカリも感じられないためシラーズに決めきれない。香りのイメージだけなら先日飲んだクシノマヴロがかなり近い・・・しかし色調が・・・。
ドツボにはまり、外観的に気に入らないがクシノマヴロに変更。
赤③:時間が経過しても焼けたゴムと硫黄の香りが強く、他が感じ取れない。そういえば以前にテルペン系の香気成分が強いワインを小瓶に保存していた際、同様の硫黄臭がしたことがあるな。
香りについてはあきらめ、色調やタンニンの低さを加味しつつフラネオール(テルペン)の多いマスカットベーリーAに変更。
正解発表
品種 | 生産国 | 収穫年 | |
白① | リースリング | ドイツ | 2021 |
白② | ミュスカデ | フランス | 2022 |
白③ | シャルドネ | 日本 | 2021 |
赤① | テンプラニーリョ | スペイン | 2019 |
赤② | シラーズ | オーストラリア | 2021 |
赤③ | サンジョヴェーゼ | イタリア | 2021 |
ファーストアンサーの自己採点:44点
ファイナルアンサーの自己採点:11点
やってしまった‼
変えたところが完全に裏目に出ました。
そして予選通過者の得点は……
1位通過:56点
8位通過:48点
どっちにしても予選通過は無理でしたね。
まだまだ実力不足です。
今後に向けて
今回の反省をしておきます。
良かったところ
それぞれのワインについて最終候補を2~3種に絞ったとき、ほぼ全てのワインで正解品種を挙げることができていた。回答の引き出しが増えてきているのを実感した。
以前は回答に困って引き出しにない(例えば飲んだことがない品種や産地を)回答してしまうこともあったが、それは無くなった。
改善点
品種の候補を挙げる際に一貫性がなく、例えばアロマティック品種とニュートラル品種を同時に候補にしてしまっている。リースリングとアリゴテなどは特徴の差が大きいのに、同時に候補に挙げていたりする。
理論ではなく思い付きでテイスティングしてしまっている証なので、意思を持ってテイスティングするようにする。
「ヴィノカップ予選で基礎的な品種ばかりが出るはずない。マイナーな品種も出るはず。」と、余計な推測をしてしまった。(クシノマヴロとか完全にこれ。)ちゃんとワインに向き合わねばならない。
香りや味わいを正確に取る訓練はもちろん続けますが、品種や産地についての情報を得た状態のテイスティングもしっかり行い、知識で知っている特徴を実体験に紐付けていくトレーニングをしようと思います。
あとは温度管理もミスした。白ワインの香りを取るのが苦手なので、やや高めにしておいたところ、二巡目のテイスティングで温度が上がりすぎて方向性のズレる考察ばかりしてしまった。
いつかブラインドテイスティング大会で優勝する日まで、挑戦は続きます。
お読みいただきありがとうございました。
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