「ワインは健康に良い」、一度は聞いたことのある噂ではないでしょうか?
これについては、現代科学的には「アルコール飲料なのでそもそも健康に悪いが、一部健康に良い成分が入っている。」というのが最も妥当な解答になります。
今回は、ワインのどこが体に良いのか?悪いのか?を掘り下げて解説します。
ワインによる健康への悪影響
ワイン中に含まれる体に悪い成分は基本的にひとつ、エタノールです。
一般的に、お酒中でアルコールと呼ばれているのはエタノール。
ワインの場合、原料ブドウに含まれるブドウ糖を酵母が分解し、エタノールをつくることでお酒にしています。
つまりアルコール5%や10%などと記載があるのは、エタノール量を基準にしています。
(エタノール以外にもメタノールというアルコールもありますが、こちらは毒性が非常に高く、日本で販売されている飲料に混入していることはありません。)
エタノールの何が体に悪いか、順に見ていきましょう。
エタノールは発ガン性が認められている
国際的なガン研究機関(IARC)では、アルコール飲料中のエタノールを、最高位のクラス1に分類しています。
IARCのクラス分類は次の通り。
なんと、エタノールはX線などとと同じく「人において発ガン性の充分な証拠がある」と認定されているのです。
他にクラス1に分類されている化学物質には、有名なベンゼンなどもあります。(ベンゼンとエタノールでは、許容される摂取量には大きな差があります。)
ベンゼンといえば、築地市場移転の際に地下から検出され、大々的にニュースに取り上げられた成分。
それと同じクラスというのは驚きですよね。
なおエタノールはすべてのお酒に含まれているため、ワインに限らずお酒は発ガン性が認められています。
依存性がある
これは有名ですが、エタノールには依存性があり、アルコール依存症として知られています。
この状態になるとお酒が無いと不安になり、ひどい場合は手が震えることも。
精神的に不安定になるため、人間関係で問題になることも多いです。
TOKIOの山口さんがアルコール依存症によって問題を起こし、引退した例などは有名ですね。
睡眠の質を下げ、体内の炎症を促進する
「お酒を飲まないと寝られない」という人もいますが、半分正解で半分間違い。
確かに適量のお酒を飲むと、寝付き自体は早くなります。
しかしエタノールは睡眠の質を下げる作用があり、睡眠の質が下がると体内の細胞の炎症が進みます。
体内の炎症レベルが上がると心臓病などの慢性疾患になったり、免疫力が低下したり、様々な悪影響が出てくることが知られています。
トータルで見ると、適量のワインであっても睡眠にはやや悪影響を及ぼすととらえておきましょう。
なお、過剰な量の飲酒や常習的な寝酒については悪影響がさらに強く出ます。
ワインによる健康への良い影響
ここまで悪影響を解説しましたが、それでも「ワインは健康にいい」という声が後を絶ちません。
またワイン消費量の多いフランスでは高脂質な食事が多いのに健康な人が多く「フレンチ・パラドックス」と呼ばれていますが、これはワインが影響していると言われています。
ワイン中には確かに健康に良い成分が入っているため、成分ごとに見ていきましょう!
ポリフェノール
ワイン中には、ポリフェノールである渋み成分であるタンニンや、ポリフェノールの兄弟ともいえるアントシアニン(紫色の成分)が多量に含まれています。
これらは強い抗酸化作用を持っているため、体内に発生する活性酸素を捉えることで、細胞が傷つくのを防ぐ効果が。
活性酸素はシミの原因にもなるため、ポリフェノールを定期的に接種することで美容に良い効果をもたらします。
さらにポリフェノールには脂質と相互作用する性質があることから、食事中の脂肪吸収を和らげることができます。
これにより、中性脂肪が減少する効果があり、動脈硬化のリスク低減が期待できると報告されています。
エタノール
体に悪い成分でも挙げたエタノール、実は体にいい一面もあるのです。
飲酒習慣と胆石のリスクには負の相関が認められています。
つまり、飲酒習慣のある人の方が胆石を発症しにくいということ。
これはエタノールによって胆汁分泌が促進され、胆石ができにくくなったと考えられているようです。
ただし、ワインに合わせてハムやウインナーなどの脂質が多いものを食べてしまうと逆効果。
予防効果を得たいなら、ピクルスなどの野菜類か、EPAの多い魚にしておきましょう。
いかがでしたか?
「ワインは健康に良い。」よく聞く話ではありますが、半分正解半分間違いと言えます。
良い点と悪い点をしっかり理解することで、健康効果を過信や過小評価することなく、ワインを見てあげることができます。
またそれぞれの体質によっても善し悪しは変わるため、ワインの効果をしっかり理解し、たのしく健康的にワインを楽しみましょう!
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