「ワインってヨーロッパで作ってるイメージだけど、やっぱりフランスが一位?」
「フランスのワインは高くて買えない、安くて美味しいものはないの?」
ワインといえばフランスというイメージが強いですが、実はフランスは世界第2位で、イタリアが1位です。
今回は安くて美味しくて生産量が世界一のイタリアについて解説します。
イタリアのデータ
気候 | 地中海性気候 |
ワイン生産量 | 世界1位 |
知名度 | ★★★★★ |
推奨価格 | 2000円~ |
イタリアワインの概要
ワイン生産量はフランスを抜き、世界一です。
地中海にある長靴上の半島であることは社会の授業で習ったかと思いますが、それゆえに非常に気候条件がよく、ワインの生育にもピッタリです。
イタリアは20の州に分かれていますが、いずれもワインに適した気候で、全ての州でワインを生産しています。
「このようにイタリア全土がワインに適した土地であるため、古代の人々はイタリアのことを「エノトリア・テルス(ワインの大地)」と呼んでいました。
全体的な傾向としては、フランスと比べると太陽の光をたっぷりと浴びた、骨格がはっきりしてはつらつとした印象のワインが多いです。
また、フランスよりも安価で高品質なワインに出会う確率が高い場所でもあります。
州ごとに多様なワインが造られていますが、細かく紹介するのは別の機会とし、今回はざっくりとした区分けで紹介していきます。
イタリアワインの覚え方(法律について)
ボルドーやブルゴーニュの格付を思い出していただければ、基本的にはイタリアも同様のルールであるとイメージしていただけると思います。
イタリアの場合、最上位からD.O.P.(さらにD.O.C.GとD.O.C.に分かれる)⇒I.G.P.⇒Vinoと分かれています。
フランスと違うのは、必ずしも格付と価格が一致していない点です。
例えばボルドーワインで「Bordeaux(ボルドー)」という地域名格付のワインを買おうとすれば1000円程度でも(味はともかく)たくさん見つけることができますが、上位の「Pauillac(ポイヤック)」という村名格付のワインを買おうとすると、安くても3000円程度は見込んでおく必要があります。
一方、イタリアではD.O.C.「Bolgheri(ボルゲリ)」というワインはほとんどが4000円以上ですが、上位のD.O.C.G.「Chianti(キャンティ)」というワインは普通のスーパーマーケットで1000円以下で買えたりします。
このように、「上位であればおいしい」「上位であれば高級」というのが通用しないのがイタリアであり、掘り出し物もたくさんある一方である程度しっかり選ばないといけない、面白い産地であると言えます。
イタリアワインの特徴
イタリアでは多様なワインを造っています。
各地について細かく解説したいのですが、とてつもない文章量になるため別の機会とし、まずはざっくり北部・中部・南部に分けて解説していきます。
イタリア北部
ヴァッレ・ダオスタ州、ピエモンテ州、リグーリア州、トレンティーノ・アルト・アディジェ州、ロンバルディア州、ヴェネト州、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州、エミリア・ロマーニャ州 がここに該当します。
このうち、日本で見る機会が多いものは、基本的にはピエモンテ州、ヴェネト州くらいで、もしかするとロンバルディア州も見るかもという程度ですので、ここについて覚えておけば良いと思います。
ピエモンテ州
オリンピックがあったトリノを州都とする州で、アルプス山の麓に位置しています。
ネッビオーロというブドウから造られるバローロや、バルバレスコが有名です。
これらは「王のワイン」「ワインの女王」などと呼ばれ、とても超熟でイタリアを代表する高級ワインになっています。
ただ、私としてはこれらのワインはビギナーにはオススメできません。
ネッビオーロというブドウは、最高クラスのタンニン(渋み成分)と酸味を持っているので、「酸っぱくて渋い」と感じる方がほとんどだからです。
実際に私もワインエキスパートの勉強中にこの品種のテイスティング練習をしていた際は、かなりきつかったのを覚えています。
ビギナーにオススメできるのは、バルベーラという品種から造られる「Barbera d’Asti(バルベーラ・ダスティ)」というワインで、これは酸味はしっかりしているものの、タンニンはそこまで多くなく、豊かな果実味を楽しめる味わいになっています。
ヴェネト州
観光地として有名なヴェネツィアがある州で、イタリアトップクラスのワイン生産量を誇ります。
ビギナーの方でも聞いたことがあるようなワインは少ないものの、お手頃な価格で高品質なワインを造っていたり、一方で長期熟成に耐えうる高級ワインを造っていたりと、有名な産地です。
特に有名なワインとしては、赤ワインの「Amarone della Valpolicella(アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ)」と白ワインの「Soave(ソアヴェ)」です。
アマローネは、コルヴィーナと呼ばれるブドウを中心にいくつかをアッサンブラージュ(調合)して造りますが、ワイン造りを行う前に、ブドウを陰干しするのが特徴的です。
簡単に言えばちょっとレーズンっぽくしたブドウでワインを作るため、水気が飛んで非常に濃厚な味わいとなり、熟したブドウの甘みを感じることができます。
渋みも控えめなため、ビギナーにオススメできるワインです。
ソアヴェについては、ガルガーネガというブドウから造られる白ワインですが、ガルガーネガは香り高く、酸味もそこまで強くないため飲みやすいです。
高品質なデイリーワインとして活躍してくれます。
ロンバルディア州
ファッションで有名なミラノが属する州です。
ビギナーがいきなり覚えておくべきワインはあまりないのですが、強いてあげるとすればD.O.C.G.「Franciacorta(フランチャコルタ)」は日本でも多少目にする機会があると思います。
これはシャルドネ、ピノ・ネーロ等を使って作るスパークリングワインで、フランスのシャンパーニュと同じ高級な製法を使って生産されます。
果実味が豊かな味で、ビギナーにとっても飲みやすいワインです。
イタリア中部
トスカーナ州、ウンブリア州、マルケ州、ラツィオ州、アブルッツォ州、モリーゼ州からなる地域です。ここについては、基本的にトスカーナ州について覚えておきましょう。
アブルッツォ州もピンポイントで有名なワインがあるので若干覚えておきましょう。
トスカーナ州
フィレンツェが所属する州で、おそらくイタリアワインで一番有名です。
前述したD.O.C.G.「Chianti(キャンティ)」は安価に高品質なワインが手に入るほか、名探偵コナンの影響もあってか非常に有名です。
ただ、ビギナーの方はトスカーナのワインは避けておくのが無難かと思います。
トスカーナのワインはほとんどがサンジョベーセというブドウから作られているのですが、これがピエモンテ州の際に解説したネッビオーロととても似た味わいで、酸っぱくて渋いからです(サンジョベーセの他にも色々混ぜてはいるので飲みやすいものもあるのですが、ちゃんと選ぶ必要があります。)。
アブルッツォ州
生産量や人気では、そこまで特筆すべき事項は無いのですが、日本では神の雫という漫画の影響で、一躍有名になったワインがあります。
「Montepulciano d’Abruzzo(モンテプルチアーノ ダブルッツォ)」というワインで、直訳すると「アブルッツォのモンテプルチアーノ」という意味です。
モンテプルチアーノというのはブドウの品種ですが、酸味や果実みのバランスがよく、特にファルネーゼという造り手のワインが秀逸なため、神の雫では「2000円くらいなのに、16000円のワインに負けていない!」と紹介されました。
実際、そこまで行くとちょっと盛り過ぎな印象はありますが、4000~5000円と言われても納得できる品質ではあります。
このワインはスーパーやセブンイレブンにも売ってたりしますので、知っていると何かと便利です。
この記事の最後に載せていますが、こちらのワインです。
イタリア南部
カンパーニア州、プーリア州、バジリカータ州、カラブリア州、シチリア州、サルディーニャ州 が該当します。
高級ワインとして知られているというより、生産量の多い州がいくつか有り、高品質なデイリーワインとして知られている地域です。
特に日本でよく見るのはプーリア州かと思いますので、ここについて解説します。
プーリア州
温かく乾燥した気候で、太陽をたっぷり浴びてよく熟したブドウを使い、果実み豊かなワインを大量に生産しています。
ブドウ品種においてはプリミティーヴォという品種が有名で、ビギナーにとっても飲みやすい味わいであるため人気であり、アメリカにこの品種を持っていき、ジンファンデルという品種名に変えてワインを作っています(同じ品種で産地によって名前が変わることを、シノニムと言います。)。
白ワインについても同じように恵まれた環境で育っており、果実みや花の香りが豊かで、酸味も豊かでは有るものの穏やかで飲みやすいワインが作られています。
イタリアのオススメワイン
ファルネーゼ モンテプルチアーノ ダブルッツォ カサーレヴェッキオ
アブルッツォ州で作られる、モンテプルチアーノという品種でできたワインです。
漫画「神の雫」の影響で一躍有名になったワインで、スーパーやコンビニで見かけることも多いです。
どこでも手に入りやすいものの、非常に高品質なワインで、あふれる果実味に加えてとても優雅な香りを持っており、肉料理全般に合います。
長く熟成したものより、5年以内くらいのヴィンテージの方が果実味を感じられ、ビギナーにオススメできます。
エッダ カンティーネ サン マルツァーノ
プーリア州で作られる、シャルドネというブドウを中心に他品種をブレンドしたワインです。
温暖産地の特徴をしっかり持っていて、あふれる果実の香りに加え、たくさんの白い花の香りがあふれてきます。
果実の香りが前面に出てきて、酸味は比較的穏やかであるため、酸っぱいのが苦手なビギナーにもお勧めできます。
ボトルがかなりしっかり作られていて、コルクがガッチリ挟まっているため、ビギナーの方は開栓しにくいかもしれません(笑)
コルクを抜いた瞬間の香りを楽しみに頑張ってください。
アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ コスタメディアーナ
ヴェネト州で、コルヴィーナというブドウを中心に他品種を混ぜ、アパッシメント(ブドウを陰干し)製法で作られたワインです。
アパッシメントを行うと生産できるワインの量が減るため、通常は「アマローネ」というのは高級ワインになります。
(通常はブドウ1kgでボトル1本程度のワインができますが、陰干しして水分が減った分だけ、生産できるワインの量が減ってしまいます。)
しかしこのワインは現時点ではかなり安価に入手でき、アマローネらしい濃縮感と、若干チョコレートのような風味を感じることができます。
渋みや酸味も穏やかで、ビギナーにオススメできるワインです。
イタリアワインのまとめ
いかがでしたか?
ワインと言えばフランスのイメージが強いですが、ビギナーにはむしろイタリアの方がオススメできるものが多いです。
ぜひ、イタリアワインもトライしてみてください。
・フランスに比べて安くておいしいワインに出会える確率が高い
・果実味豊かでしっかりした味わいのワインが多い
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