レストランでスパークリングワインを頼むとき、「シャンパンください」と言ってませんか?
「シャンパン」はフランスのシャンパーニュ地方で作られる「シャンパーニュ」だけに使っていい言葉で、適当に使っているとまわりから寒い目で見られるかもしれません。
名前だけでなく、スパークリングワインは甘口(SEC)と辛口(BRUT)を見分けることも重要です。
スパークリングワインはとってもおしゃれなので、選び方もスマートにできるようにしておきましょう。
ポイントさえ押さえればとても簡単です。
今回はスパークリングワインの作り方や種類、よくある間違いについて解説します。
スパークリングワインとは?
ワイン中に含まれる炭酸ガスの影響で、シュワシュワしているワインのことをスパークリングワインと言います。
「さすがにそれはわかる!」と言われそうですが、スパークリングワインはシュワシュワ具合によって発泡性、微発泡性に分けられます。
また、たまにふつうの白ワイン(スティルワイン)でも、発酵の関係でちょっとだけ炭酸ガスが入っていてシュワっとするものがあります。
こういったものはスパークリングワインとは呼びませんのでご注意ください。
定義上、3気圧以上のガス圧を持つワインのことをスパークリングワインと呼んでいます。
スパークリングワインの残糖量表示とは
スパークリングワインは法律的に、残糖量(ワインのなかに残っている糖分)について記載義務があります。
味わいに大きく影響しますので、代表的な基準を見てみましょう。
フランス | イタリア | スペイン | |
3g/L未満 | Brut Nature | Brut Nature | Brut Nature |
0~6g/L | Extra Brut | Extra Brut | Extra Brut |
12g/L未満 | Brut | Brut | Brut |
12~17g/L | Extra Sec | Extra Secco | Extra Seco |
17~32g/L | Sec | Secco | Seco |
32~50g/L | Domi Sec | Semi Secco | Semi Seco |
50g/L以上 | Doux | Dolce | Dulce |
ざっくり見てみると、BRUTと書いてあれば糖分が少ない辛口、SECと書いてあれば糖分が多い甘口、のような傾向があります。
最初はこれだけ掴んでおければ問題ありません。
スパークリングワインの作り方
ちょっと面倒ですが、スパークリングワインを知るうえで、作り方は避けて通れません。
主に5種類の製造方法に分かれるので、それぞれ簡単に解説します。
トラディショナル方式(最重要!)
スパークリングワインと聞いて思い浮かぶ銘柄のほとんどがここに入ります。
すべての製法で共通となりますが、まずは途中まで白ワインの作り方を行い、アルコールを発生させ、スティルワイン(普通のワイン)を作ります。
その後ワインを瓶に移し、瓶内で二次発酵を起こすための糖分と酵母を加えます。
糖分と酵母によって、二次発酵が開始され、アルコールと炭酸ガスが発生します。
この炭酸ガスが泡になります。
そのあと1~5年程度瓶内で熟成させますが、この期間はワインによって変わり、シャンパーニュであれば1.5~3年程度です。
熟成が完了したら、瓶内の酵母を取り除きます。
酵母を数ヵ月かけて瓶の口部に集め、凍結させてからブシュっと吹き出させて取り除きます。
「デゴルジュマン」という工程ですが、作業者はワインでびしょびしょになります。(笑)
残ったスペースに、糖分を調整するためのシロップ(ドザージュ)を加える場合もあります。
この方法で作られたスパークリングワインはきめ細かい泡をもち、とても美味しく飲めます。
この方法を「シャンパーニュ方式」と呼ぶこともあります。
トランスファー方式
瓶内で二次発酵させるところまではトラディショナル方式と同じです。
その後、酵母などをろ過しつつ新しい瓶に移しかえます。
この方法だと、トラディショナル方式のように酵母などを取り除くために数ヵ月もかけなくてよく、効率的に生産できます。
シャルマ方式
アルコール発酵させたワインを酵母や糖分と一緒に大きなタンクに入れ、その中で炭酸ガスを作る方法です。
これによって瓶にいちいち移し変えることなく、効率的に生産できます。
また、瓶内で酵母と共に熟成すると、酵母由来の香り(焼いたパンのような香り)がしますが、この方法ではそれがありません。
主に果実の香りを活かしたいときや大量生産ワインに使用される手法です。
田舎方式
他の製法ではスティルワインを作る際、ブドウの糖分をすべてアルコールにしますが、この方法では一部の糖分を残しておきます。
そのまま瓶に詰めて置いておくと炭酸ガスを発生するため、スパークリングワインになります。
炭酸ガス注入方式
コーラを作るのと同じ要領で、スパークリングワインに炭酸ガスを吹き付けると泡になります。
一番効率的な作り方で、安価で大量に作ることが出来ますが、品質も劣ります。
世界3大スパークリングワインとその作り方
まずは世界3大スパークリングワインと呼ばれるものをざっと見てみましょう。
名前 | 生産国 | 製造方法 |
シャンパーニュ | フランス シャンパーニュ地方 | トラディショナル方式 |
プロセッコ | イタリア ヴェネト州 | シャルマ方式 |
カヴァ | スペイン カタルーニャ州 | トラディショナル方式 |
それぞれもう少し詳しく解説します。
シャンパーニュ
スパークリングワインの代名詞とも言えるのがシャンパーニュです。
結婚式の乾杯酒としても鉄板ですね。
フランスのシャンパーニュ地方(パリの北東)で生産されます。
主にシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエというブドウからトラディショナル方式で生産され、細かい泡や素晴らしい香りを持っていることで有名です。
瓶にヴィンテージ(収穫年)の記載があるものをミレジム、そうではないものをノンミレジムといいます。
ミレジムの場合は、炭酸ガスを発生させるための瓶内二次発酵から出荷までは36か月間以上熟成し、ノンミレジムは15か月間熟成と厳しく決められており、一定の品質が保証されています。
プロセッコ
イタリアのヴェネト州(ヴェネツィアのあるところ)で生産されます。
主にグレーラというブドウを使い、シャルマ方式で製造されます。
シャンパーニュと異なりシャルマ方式のため、果実みが豊かな作りになっていて、残糖量が少し多めなので、ビギナーでも飲みやすくなっています。
カヴァ
スペインのカタルーニャ地方で生産されます。
シャンパーニュと同じくシャルドネやピノ・ノワールの他、スペイン固有品種を使って、トラディショナル方式で製造されます。
作り方はシャンパーニュと同じですが、スペインの品種を多く使っているため、シャンパーニュよりも酸味が穏やかになりやすい傾向にあります。
ざっくり言えば安価なシャンパーニュというイメージで、安く高品質なスパークリングワインを飲んでみたいのであれば、まずはカヴァを試してみると良いです。
おすすめのスパークリングワイン
ドメーヌ ジャン シャルトロン ル クレマン ド ジャン ブラン ド ブラン
フランスのブルゴーニュ地方で、トラディショナル方式(シャンパーニュ方式)で作られるスパークリングワインです。
フランス国内のシャンパーニュ以外の地域で、シャンパーニュ方式で作ったワインを「クレマン」と言います。
このワインはブラン・ド・ブラン(白ブドウから作った白ワイン)で、華やかな香りと豊かな酸味によるキレがあり、肉・魚・前菜問わず食事に合わせやすいです。
アスランジェ・ブリュット・ロゼ G.H. マーテル NV
ピノ・ノワール、シャルドネ、ロゼというブドウをブレンドして作られる正統派シャンパーニュ!
シャンパーニュだけあって値が張りますが、グラスに注いだ瞬間あふれてくる香りは別格です。
先にご紹介したジャン・シャルトロンとともにグラスに注ぎ、紅白のスパークリングワインでお祝いするととっても喜ばれるかもしれませんよ。
お祝いの席にピッタリなスパークリングワイン。
ワインセラーが無くても、冷蔵庫でおいしく保管できるのも魅力です。
どんな料理にも合わせやすく、ホームパーティーで大活躍してくれますよ。
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