【ソムリエ試験】リースリングを当てる方法と二次試験模範回答

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ソムリエ・ワインエキスパート資格の二次試験はブラインドテイスティング。

基本的には「きちんとテイスティングコメントを書く能力があるか?」を確認する試験なので、品種・生産地は正解しなくても受かります。

しかし近年は受験者のレベルも上がり、できれば正解しておきたいのも事実。

そこで、どうやってブラインドで品種と産地を当てるか、具体的なメソッドを解説します。

コットン
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テイスティングの行程ごとに、ワインエキスパートの思考方法を解説していくよ!

今回は「リースリング」について解説します。

コットン
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白ワインは赤ワインに比べて難易度が高め。でも丁寧にやれば品種は正解できるよ!

味覚・嗅覚は人によって差があるため、今回の解説が全員に当てはまるわけではありませんが、考える道筋として参考にしてください。

↓品種別ブラインドテイスティング解説はこちら

赤ワイン白ワイン
ピノ・ノワール
カベルネ・ソーヴィニヨン
テンプラニーリョ
シラー
ネッビオーロ
ソーヴィニヨン・ブラン
シャルドネ(アメリカ)
甲州
リースリング
シャルドネ

リースリングの基本情報

出典:https://www.mottox.co.jp/column/wine/riesling
名称ライン・リースリング など
外観レモンイエロー、イエロー
香り柑橘、リンゴ、アカシア
味わい伸びのある豊かな酸味
見分けるポイント香り・味わいのバランス

アロマティック品種の代表格であるリースリング。

スイカズラ・アカシアといった白い花の香りが強く、リンゴを中心とした果実の香りも豊かです。

酸味も非常に豊かで熟成のポテンシャルもあり、「高貴な品種」として知られています。

テロワールを反映しやすいと言われている品種であり、裏を返せば品種自体に「これだ!」というわかりやすい特徴が無いともいえます。

「リースリングといえばペトロール香」ではない

解説に入る前に、リースリングの品種特徴としてよく言われるペトロール(重油)香について触れておきます。

「ペトロールがあるかないかで判断すれば良いよね。」という話をたまに聞きますが、これは誤り。

試験出るのはフランスかドイツのリースリングがほとんどですが、近年これらの地域ではペトロール香はオフフレーバーとして認識されており、ワインから香ることは基本的にありません。

そしてペトロール香があるのはオーストラリアやカナダといった新世界のリースリングですが、これらの地域のリースリングの出題確率は非常に低いです。

よって試験に出るようなリースリングは、ほぼ間違いなくペトロール香がないものと言えます。

コットン
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「リースリングはペトロール」というのは一昔前の知識なんだね!

リースリングをブラインドで当てる方法

二次試験におけるリースリングは、試験に出る品種の中で最も難しいもののうちのひとつです。

一方で出題頻度はかなり高いため、しっかり対策しておきましょう。

外観・香り・味わいを総合的に評価し、あり得ない選択肢を除外していくスタンスで判断していきます。

順番に見ていきましょう。

外観(色調)を確認する

二次試験の白ワイン外観は、明らかに濃いイエローか、それ以外かを最初に確認しましょう。

試験に出るほとんどの白ワインは①に該当し、リースリングも①。外観では絞りこめません。

ちなみに②の色調のワインは高確率でアメリカのシャルドネ、③の色調は高確率で日本の甲州です。

①の中でもイエローかレモンイエローかについては、そこまで重要ではありません。

比較的レモンイエローの方が多いですが、色調は果実の熟度によって変化し、絞りこめないためです。

外観は参考程度にしておきましょう。

この時点で候補となる品種:リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ミュスカデ、アリゴテ、トロンテス、ヴィオニエ

香りの成分で候補を絞る

外観では絞り込めないため、香りの成分を慎重に確認し、候補に残らないものを除外していきましょう。

試験に出るリースリングは、青リンゴを中心に柑橘とリンゴ、スイカズラやアカシア(白い花)が中心で、余韻にややハチミツがあるのが特徴的なものの、わかりやすい特徴的な香りはありません。

従って「候補として残している他の品種ならこういう香りのはず!」と考えて、ひとつひとつの香りの成分で、候補を絞っていきます。

順番に見ていきましょう。

ソーヴィニヨン・ブランと比べてみる

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ソーヴィニヨン・ブランはリースリングと同じくアロマティックな品種ですが、香りの系統は別物。

ソーヴィニヨン・ブランの特徴的な香りとして、「チオール系化合物」があげられます。

チオール系化合物って?

正式名称でいえば4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン(MMP)や 3-メルカプトヘキサノール(3MH)という成分が代表的。「やや青臭さの残るグレープフルーツやパッションフルーツ」の香りがする成分で、特にニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランはチオールの含有量が多い。ややネガティブな表現で「猫のおしっこ」とも表現される。

この香りはかなり特徴的なため、慣れれば誰でも判別できます。

チオールが香らないのであれば、ソーヴィニヨン・ブランは外します。

リースリングと比較して練習してみると、明らかにハーブや芝生のような青さが感じられますので、意識して練習しておきましょう。

シャルドネと比べてみる

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シャルドネもリースリングと合わせて試験の頻出品種です。

リースリングとシャルドネで明確に違うのは、香り成分の量。

リースリングはアロマティック品種ですが、シャルドネはニュートラル品種の代表格。

アロマティック品種とニュートラル品種

果実自体の香り(第一アロマ)が豊かなものをアロマティック品種、弱いものをニュートラル品種という。アロマティック品種はリースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、ヴィオニエなど。ニュートラル品種はシャルドネ、アリゴテ、甲州などがある。

これらを見分けるポイントは「グラスから遠い距離で香りが取れるかどうか」です。

そこで、鼻をグラスに近づけるより前に、15cmほど離れた距離から香りを確認してみてください。

リースリングであれば明確に果実と花の香りがしていますが、シャルドネだと「集中すると…柑橘があるかなぁ…?」くらいのレベルしか香りません。

香りが弱ければ、シャルドネと考えて除外しましょう。

またシャルドネは、アメリカ以外の産地(ブルゴーニュ南部や日本など)でも木樽の香りがすることも多いです。

対して、試験に出るリースリングは木樽を使っていないものです。

木樽の香りは比較的簡単に判別出来るようになるため、しっかり練習しておきましょう。

香りが強く、もしくは木樽の香りがなければ、リースリングの可能性を残します。

ミュスカデやアリゴテと比べてみる

ミュスカデはたまに出題、アリゴテは基本的に試験には出ませんが、考え方がシャルドネとほぼ同じなのでついでに判別方法を覚えておきましょう。

ミュスカデとアリゴテは、シャルドネ以上にニュートラル。

鼻をグラスに近づけるまでほとんど香りません。

試験に出るミュスカデやアリゴテなら木樽は使わないタイプのため、木樽で判別することはできませんが、一度比較すれば忘れないくらいに香りの差が大きいため、香りの強さで判別すればOKです。

この時点で候補となる品種:リースリング、トロンテス、ヴィオニエ、

味わいでリースリングまで絞りこむ

リースリングであれば、非常に豊かな酸味があるはずです。

これを起点に、残っている品種と比較してみましょう。

ヴィオニエと比べてみる

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ヴィオニエは非常に豊かな香り持ち、酸味が非常に少なく、やや苦味のある品種です。

よって、飲んだ時にしっかりと酸味を感じられれば、酸味の少ないヴィオニエは外せます。

さらに香りの方向性もリースリングとヴィオニエでは異なるため、ヴィオニエは比較的容易に外せます。

トロンテスと比べてみる

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最後にトロンテスと比べます。

トロンテスは酸味もしっかりあるため、酸味だけで判別は難しいです。

そのため、説明が若干前後しますが香りも含めて総合的に判断します。

まず飲む前の香りについて、リースリングはしっかりとしたリンゴを感じますが、トロンテスはリンゴよりも柑橘やライチが前に出ます。

そして飲んだ後の香り(レトロネーザル)について、リースリングはハチミツやアカシアの花の感じが強く出ますが、トロンテスはキリッとしたキレがあり、香りは残りにくいです。

つまり、飲み込んだ後3~5秒ほど経っても続く、花やハチミツのような余韻があればリースリングと考えます。

生産国ごとの特徴

生産国については、フランス(アルザス)かドイツが考えられます。

生産国は「当たればラッキー」程度ですが、余裕があれば国ごとの特徴をとらえておき、少しでも当たる確率を上げましょう。

フランス アルザス地方

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リースリングの二大産地の一角。

高い酸度と、非常に豊かなミネラル感が特徴です。

コットン
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でも「ミネラル感」って抽象的で難しいよね…。

テイスティングにおける「ミネラル」の表現はかなりややこしく、並みの受験生レベルであれば、ここに着目するのはやめておいた方が良いです。

わかりやすいアルザス リースリングの特徴として挙げられるのはアルコール度数

特に近年、アルザスは地球温暖化の影響を色濃く受けているため、ブドウの糖度が上がりやすく、高アルコールになりがちです。

そのため、ドイツのリースリングと比べると0.5~1%程度、アルザスの方が高くなりやすいといえます。

テイスティングの練習をする際は、アルザスを代表する下記の生産者で練習すると特徴が掴めます。

ドイツ

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ドイツで最も多く生産されている品種がリースリング。

ミネラルが豊富で、辛口ワイン・甘口ワインそれぞれたくさん作られています。

コットン
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試験に出るのは辛口!

ドイツは全体的にフランスよりも冷涼なため、アルコール度数が上がりにくいという特徴があります。

そのため、12.5%以下などで度数が低いと思われる場合、ドイツを選択すると良いでしょう。

ただし、もちろんフランスでも度数が低いものもあれば、ドイツでも度数が高いものもあります。

産地は当たればラッキー程度に考えておきましょう。

ブラインドテイスティングを鍛える方法

ブラインドテイスティングを鍛える方法は、なんといってもブラインドテイスティングをたくさん行うこと。

ブラインドで飲むことにより、少しでもワインから情報を得ようとするクセをつけましょう。

たくさんの種類をブラインドで練習するには、ヴノテラスのブラインドセットが最もコスパが良かったです。

少し値は張りますが、回答用紙や講師の模範解答も届き、本番さながらのテイスティングをすることができます。

ただしブラインド小瓶セットは二次試験が近くならないと販売されません。

それまでの間は下記のような品種別ワインのハーフボトルセットをお勧めします。

ヒグチワイン Higuchi Wine
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リースリングの模範回答

最後に、リースリングと思われるワインが出題された場合に選ぶべき、オススメの回答をご紹介します。

下記の回答であれば、品種を外した場合でも十分に合格点が狙えます。確実に得点を積み重ねましょう。

模範解答をしっかり覚えておくことが重要です。

外観のおすすめ選択肢

項目表現
清澄度澄んだ
輝き輝きのある
色調グリーンがかったレモンイエロー
濃淡淡い
粘性やや軽い
印象若々しい、軽快な

香りのおすすめ選択肢

項目選択肢
第一印象開いている、フレッシュ
特徴果実:柑橘類、青りんご、りんご
花:スイカズラ、アカシア
香辛料 他:ミント、ヴェルヴェーヌ、石灰、貝殻
印象若々しい、第一アロマが強い

味わいのおすすめ選択肢

項目選択肢
アタックやや軽い
甘みドライ
酸味爽やかな
苦み穏やかな
バランスコンパクトな、ドライな
アルコール中程度
余韻やや長い

総合評価のおすすめ選択肢

項目選択肢
評価シンプル、フレッシュ感を楽しむ
適正温度8~10℃
グラス中庸
収穫年2年前

いかがでしたか?

リースリングは試験に出る白ワインで最高難度の品種なので、品種・産地を間違えても問題ありません。

まずはテイスティングコメントをしっかり答えられるよう、自分の型を持っておくようにしましょう。

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