毎年秋になるとニュースになるボジョレー・ヌーボー。
ボジョレー・ヌーボーとは、「ボージョレ(ボジョレー)地区で作られた新酒」という意味で、2024年は11月21日に解禁されます。
日付変更線の関係で日本で最も早く飲めるため、日本人が大好きなことで有名ですが「おいしくない」と言われることも多く、選ぶのは難しいです。
さらにどんなワインか説明できる人は少ないのではないでしょうか?
今回は今さら聞けないボジョレー・ヌーボーについて解説します。
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今更聞けない? ボジョレー・ヌーボーとは
ボジョレー・ヌーボーを楽しむ方法について触れる前に、そもそもどんなワインなのか解説します。
言葉は知っている人が多いですが、どんなワインかを答えられる人は10人に1人もいません。
これを読むだけで、かなり詳しい人になれますよ。
生産地はフランス ブルゴーニュ地方南部
ボジョレー・ヌーボーが作られているのは、世界最高額のワイン、ロマネ・コンティを生産するフランス ブルゴーニュ地方の最南端、ボージョレ地区です。
「ボージョレ地区はブルゴーニュ地方に入らない!」という認識のワイン好きもかなりいますが、日本ソムリエ協会がブルゴーニュ地方として扱っています。
そのため、日本ではブルゴーニュ地方の一部という理解がメジャーといえます。
ボジョレー・ヌーボーに使われるブドウと製造方法
使用されるブドウはガメイという品種で、高級ワインに使われるピノ・ノワールとよく似た味わいでありながら、栽培しやすく安価に作れる品種です。
ガメイを使って普通に作ると、かなりピノ・ノワールに似た味わいのものができますが、ボジョレー・ヌーボーの場合はマセラシオン・カルボニックという特殊な方法を使います。
解禁日が11月の第3木曜なのは品質管理と販売の都合の影響
現在ではボジョレー・ヌーボーの解禁日は11月の第3木曜日ですが、昔はそもそも解禁日が無かったようです。
そのため、ワイナリーの間で「いかに早く新酒を出すか」という速さ競争が起きてしまいました。
一方でワインを作るためには ブドウの成熟⇒醸造⇒熟成 と最低限の時間をかけなければ低品質なものが出来上がってしまいます。
そのため「11月15日に解禁するまで販売してはならない。」と規定ができました。
しかし今度は、11月15日がワイン関連の業者の休日と被るケースが続出し、解禁日に販売ができなくなることが出てきました。
このような事態を防ぐため、現在のように11月第3木曜と規定されました。
ボジョレーヌーボーは日本で大人気で、世界の消費量の半分が日本と言われています。「日付変更線の関係で、日本が一番早く解禁」というマーケティングが初物好きな日本人に受けたためと言われています。
読み方はボジョレー・ヌーボー?ボージョレ・ヌーヴォー?どっちもOK!
少しワインをかじった人で「正しい読み方はボージョレ・ヌーヴォーだよ」のように細かな指摘をしてくる人がいます。
こういう人がいることが「ワイン好きは面倒くさい」と思われるゆえんかもしれません。(笑)
しかし、当サイトの結論は「どっちでも良い」です。
まず綴りが「Beaujolais Nouveau」のため、無理に日本語で発音すると「ボゥジョレイ・ヌゥーボォゥ」となります。そのため、確かに「ボージョレ・ヌーヴォー」の方が近いです。
しかし実際にフランス人が発音しているのを聞くと「ボジョレィ・ヌーヴォー」のようにも聞こえます。
結局、無理に日本語に落とし込むこと自体がナンセンスなため、細かな違いは無視してよいのです。
ワインの名前は「ボジョレー・ヌーボー」ということが多く、生産地のことは「ボージョレ」ということが多いです。
なお「ボジョレー」と略して言うと、ヌーボー(新酒)ではないボジョレー地区の普通のワインと混同されてしまいます。かならず「ヌーボー」はつけましょう。
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ボジョレー・ヌーボーの楽しみかた
軽い味わいのため、冷やしすぎを避けて香りを楽しむ
ボジョレー・ヌーボーに限らず初心者がワインでよくやりがちなミスが「冷蔵庫でしっかり冷やす」です。
赤ワインは当然として、冷やして飲む印象のある白ワインですら、キンキンに冷やすと香りが感じにくくなります。
それでも普通のワインでは酸味や渋みを感じることができますが、ボジョレー・ヌーボーは酸味や渋みがほぼないため、味が全然わからなくなります。
飲む30分前に冷蔵庫に入れて少しだけ冷やすくらいに留め、ボジョレー・ヌーボー特有のバナナやキャンディーのような甘い香りを楽しみましょう。
真冬であれば室温でそのまま飲めばOKです。
合わせる料理は肉ではなく軽食にする
ボジョレー・ヌーボーは甘い香りが特徴で、渋みも酸味もほとんどありません。
そのため、味の濃い肉料理と合わせると、ワインの香りも味わいもやや弱く感じられます。
一方で味の薄い料理と合わせると、ボジョレー・ヌーボー特有の甘い香りが料理の邪魔になります。
美味しい組み合わせは存在しますが、味付けに気を遣う必要があり、ワインに詳しい人でないと合わせられないと考えましょう。
初心者にオススメなボジョレー・ヌーボーと合わせる食事は、ずばりお菓子です。
ボジョレー・ヌーボーはビスケットやクッキーのような素朴な洋菓子との相性は非常によく、味わいを全く邪魔しません。(チョコが入っているものは甘すぎるので避けましょう。)
最もオススメしているのが森永製菓さんのムーンライト!
X(ツイッター)で、ボジョレー・ヌーボーとムーンライトのペアリングを紹介したところ、大手ワインショップのエノテカさんも大絶賛!
さらに、発売元の森永製菓さんにも喜んでいただけました。
自信を持ってオススメできる組み合わせですので、是非トライしてみてくださいね。
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新酒のお祭りという気持ちで飲むようにする
ボジョレー・ヌーボーはできたワインを急いで日本に運んで来るため、物流費が普通のワインよりも多くかかります。
よって、どうしてもお祭り価格になってしまい、コスパを追い求める人にはあまりオススメしにくいです。
イメージとしては、お祭りの屋台で売っているたこ焼きや唐揚げが割高なのと似ていますね。
ボジョレー・ヌーボーを飲む際は「少し割高だけどお祝いしよう」というような気持ちで楽しむようにしましょう。
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おいしいボジョレー・ヌーボーの選び方
前述のように、ボジョレー・ヌーボーは少し割高な設定になっています。
ですが、チェックすべきポイントを押さえればおいしいものを選ぶことができます。
船便ではなく航空便のものを選ぼう
現地フランスから輸送する場合、航空便なら数日、船便なら1か月程かかります。
しかし日本での発売日は同日のため、船便輸送のワインは航空便よりも早くフランスから発送する必要があります。
それにより生育日数が短かったり、醸造工程が短いものが多くなります。
一方の航空便であれば、しっかりと生育したブドウを使って丁寧に製造することができますので、味わいは圧倒的に航空便のものの方がおいしいです。
アルコール度数が13%以上のものを選ぼう
前述のようにボジョレー・ヌーボーは発売日が決まっているため、ワイナリーによってはブドウの生育期間を短縮して製造している場合があります。
生育期間は味わいに大きく影響しますので、こういうワイナリーは避けたいところ。
そこでチェックすべきはアルコール度数です。
ブドウは成熟するほど糖分が増えますが、アルコールは糖分を原料にして作られます。
つまり、成熟が十分でないブドウを使ったワインはアルコール度数を高くすることができません。
ボジョレー・ヌーボーの度数は12-13.5%程度なので、アルコールが高い(13%以上の)ものを選べば、ブドウをしっかり生育させていておいしいものと考えられます。
生育とアルコールについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
「アルコールが一定以上であればおいしい」というのは、ボジョレーヌーボー特有の考え方です。
他のワインはアルコールが低くても素晴らしいものがたくさんあります。
(お金に余裕があれば)ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボーを選ぼう
ボジョレー・ヌーボーにも格付があり、通常のボジョレー・ヌーボーよりも上位に、ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボーというものが存在します。
ヴィラージュの場合、①指定された良質な畑のブドウを使う、②ブドウの生育や醸造工程で決められたルールを守る、など、品質を高めるためのたくさんの取り決めがあります。
通常のボジョレーヌーボーより価格は1.5倍近く高いですが、安定して高品質なワインに出会えるため、お金に余裕があればヴィラージュをオススメします。
おすすめのボジョレー・ヌーボー
チェックする項目は挙げましたが、それでも選ぶのはなかなか難しいものです。
そこで選ぶのが面倒な人に向け、おいしいものをピックアップしておきました。
アントワーヌ・シャトレ ボジョレー・ヌーヴォー
売り上げを植林事業に寄付、資源量を13%削減したビン容器を使用、酸化防止剤を不使用など、環境に配慮する意識の高いアントワーヌ・シャトレ。
そのこだわりはワインづくりにも見られ、ボジョレー・ヌーボー最大の特徴である果実味が非常にフレッシュでありつつ、酸味とのバランスが取れています。
通常のボジョレー・ヌーボーながら、非常に品質の高いワインです。
ジョセフ ドルーアン ボジョレー ヴィラージュ ヌーヴォー
ブルゴーニュ地方の超有名生産者であるジョセフ・ドルーアン。ワインの品質は疑う余地がありません。
格上のヴィラージュ・ヌーボーのためブドウの品質も高く、完熟させているためしっかりとした果実味があります。
一方で酸味もバランスよく含まれていて、甘ったるくなく非常にエレガントな味わいとなっています。
ルー・デュモン ボジョレー・ヌーヴォー
アルコール度数が12.5%と、これまでご紹介した要素を無視するかのようなこのワイン。しかしそれでも紹介する価値があると判断したためピックアップしました。
単身フランスブルゴーニュ地方にわたり、現地で「神様」と呼ばれていた人物にも認められた仲田さんのワイナリー「ルー・デュモン」
樹齢70-95年のヴィエイユ・ヴィーニュから採れた完熟ブドウを使っており、とても凝縮された味わいです。
渋み成分のタンニンもある程度含んでおり、ひょっとするとボジョレー・ヌーボーのイメージから離れるワインかもしれません。
それでも、香り・味わい・酸味・渋みが非常にバランスよく、とてもおいしいためおすすめします。
いかがでしたか?
おいしくないという人も多いボジョレー・ヌーボーですが、どんなワインかを知り、選び方を知ればおいしいものを飲むことができます。
少し割高な印象はありますが、年に一度のお祭り!
花火大会に行くような気分で楽しんでみてはいかがでしょうか。
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