ショップや飲食店で赤ワインの説明によく書いてある「ボディ」
軽い味わいにしたいからミディアムボディにしたのに、結構しっかりした酸味・渋みだった。
濃厚な味・香りがいいからフルボディにしたのに、香り控えめでイマイチだった。
こんな経験はありませんか?
ワインのボディはコク・重み・渋み・力強さをもとに総合的に判断されているので、判断する人によってばらつきやすいです。
また香りはボディに含まれないので、ボディだけ見ていると失敗の種です。
今回はボディについて解説しつつ、ボディ以外に見てほしいポイントも解説します!
ワインのボディを決める要素
まずは赤ワイン特有のボディについて知りましょう。
ボディの定義
ボディとは、主に赤ワインの飲み口をざっくり示すための指標です。
しかしワインのボディに明確な定義はありません。
ワインメーカーやワイン業界の見解をまとめると「アルコールと不揮発性成分量に由来するコク・重み・渋み・力強さをもとに分類」となっています。
わかりにくいので表にまとめます。
ボディに関係する要素 | ボディに関係しない要素 |
・アルコール ・タンニン(渋み) ・酸味 | ・香り |
ワイン中に含まれる不揮発性成分は、タンニン(渋み成分)、酒石酸などの酸味成分などがあります。
一方、香り成分は揮発性成分なので、ボディの判断上は無視します。
ワインのボディに関連する要素について、個別に見ていきましょう。
アルコール
アルコールが高いほど、ボディは重くなります。
ラベルにも書いてあるため、最もイメージしやすい要素かと思います。
アルコールが高ければ口の中でフワッと広がる感じが強く、特に舌の真ん中あたりでボリュームを感じることができます。
ワインのアルコールは11~15%の範囲が多いのですが、特に13%を超えたあたりからボリュームをしっかりと感じます。
だいたい12%以下がライトボディのものが多く、13.5%以上のものはフルボディのものが多く、その間がミディアムボディが多いといったイメージです。
タンニン(渋み成分) ※ポリフェノール物質
渋柿にも含まれる渋み成分であるタンニンによって、舌の付け根や歯茎あたりに感じる渋みの要素です。
タンニンが多いワインでは、飲んだ時に「渋い」と感じる以外にも、舌や歯がキュッと引き締まる収斂性(しゅうれんせい)があります。
また、タンニンはポリフェノール成分なので油分をキャッチする力があり、脂の乗った肉類などを食べた後に口中をすっきりさせる作用があります。
タンニンが多いほど、ボディは重くなります。
酒石酸などの酸味成分
ワイン中には、酒石酸をはじめとしてリンゴ酸・クエン酸・コハク酸・酢酸・乳酸などが含まれています。
これらの酸味成分はアルコールとシーソーの関係にあり、酸味成分が強いほどアルコールを低く感じるようになります。
アルコールの感覚が強くなればなるほど、ボディは重くなるのでした。
つまり、酸味成分が多いほどボディは軽くなります。
ボディの重さと代表的なワイン
代表的なワインのボディは以下のようになります。
フルボディ | ボルドーワイン(ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニョンやメルロー) |
ミディアムボディ | ブルゴーニュワイン(ブドウ品種:ピノ・ノワール) |
ライトボディ | ボジョレー・ヌーヴォー(ブドウ品種:ガメイ) |
ひとつずつ見ていきましょう。
フルボディのワイン 代表例
代表的な品種 | カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー |
代表的なワイン | ボルドーワイン |
しっかりとした渋みがあり酸味も豊かで、アルコール度数も高めなものが多く、ブルーベリーやブラックベリーなどの黒っぽい果実の香りを強く感じます。
フルボディワインで最も有名なのはボルドーワインでしょう。
またフルボディワインはいかり肩のボトルになっていることが多いため、見分けやすいですね。
ミディアムボディ
代表的な品種 | ピノ・ノワール、ガメイ |
代表的なワイン | ブルゴーニュワイン |
渋みはそこまで強くないものの酸味が豊かで、アルコール度数は中程度(12.5%くらい)のものが多いです。
香りの中心にいるのはラズベリーのような明るい色をした果実。
ボトルの形がなで肩になっているものが多いです。
ライトボディ
代表的な品種 | ガメイ、マスカット・ベーリーA |
代表的なワイン | ボジョレー・ヌーヴォー |
他の2種よりも少ないですが、ライトボディのワインもあります。
渋みがほとんどなく軽い飲み口で、酸味もあまり強いものは少ない印象です。
渋みがほとんどないブドウを使ったり渋みを抑える作り方をするものが多いので、ワインの甘い香りが引き立ち、チューハイが好きな人でも飲みやすいです。
一方でワイン特有の複雑さが少ないため、好みが分かれやすいといえます。
ボディの分類はかなりざっくりなので参考程度に
ここまでボディの解説をしてきましたが「ワインに興味が出てきた」「ワインの味わいをわかるようになりたい」と思うのであれば、ボディだけを判断軸にするのはおすすめしません。
あくまでもちょっとしたヒントくらいに考えておくのが良いです。
なぜならば、ボディは「メーカーの担当者が飲んだ印象を総合的に判断して決めている」ので、担当者によるバラつきが結構あるからです。
例えば様々な体重の人を重め・普通・軽め と分類する場合を考えてみましょう。判断する担当者がの体重次第で分類がかなり変わると思いませんか?
◆40kgの人が分類したとき
◆70kgの人が分類したとき
傾向としては変わりませんが、おそらく分類が変わることは容易に想像できますよね。
ワインのボディもこれと同じで、メーカーAのライトボディはメーカーBのミディアムボディかもしれませんし、あなたにとってはフルボディかもしれません。
ここまで極端な例は少ないですが、イメージとズレが出ることはよくあります。
あくまでもボディはなんとなく見るだけにしておき、他の要素(ブドウ品種や説明文)を参考にしてワインを選ぶクセをつけていきたいですね。
ボディよりも重要!初心者が見るべき項目2選
ボディは参考程度にした方が良いと解説しました。
それでは初心者がより正確に味わいをイメージするためには、何を見れば良いのでしょうか?
ワインのボディよりもアルコール度数を見る
アルコール度数はラベルに必ず書いてあり、誰でも見て分かるバロメーターです。
ワインの平均的なアルコール度数は12.5%程度のため、ざっくり13.5%を越えると重い印象のものが多く、12%を下回ると軽めな印象のものが多くなります。
裏ラベルに書いてある香りのコメントが1番わかりやすい
色々書いてありますが、記載のある果実に着目してください。
いちご・ラズベリーのような赤い果実に関するコメントがあれば軽めのワインが多く、カシスやブラックベリーのような色の濃い果実が書いてあれば重いワインであることが多いです。
渋いのが苦手な人は、赤い果実が書いてあるものを選びましょう。
ワインのボディについて まとめ
・ボディは色々な要素が組合わさった味わいをざっくり示す指標
・ボディだけだとわからないため、アルコール度数と説明書きの果実を確認しよう。
いかがでしたか?
味わいの参考にする人が多いボディについてですが、意外と雰囲気しかつかめないことが多いです。
周辺の情報も含めて見てみることで、購入時にイメージと違うなどの失敗を防ぐことができますよ!
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