前回のシラー編に続き、今回は「ソーヴィニヨン・ブラン」をテーマに徹底テイスティングを行っていきます。
「ソーヴィニヨン・ブランなんて、どれも草っぽい香りでしょ?」と思っているそこのあなた。
実は産地や気候、そして醸造方法によって、驚くほど表情を変える品種なんです。

そして私は、ヴィノテラスブラインドカップ2025でソーヴィニヨンブランを間違えてしまいました。
今回は、定番のフランス・ロワールから、ニューワールドの銘醸地、そして意外な産地まで、計7本を比較テイスティングして、その違いを体感してみたいと思います。

次は外さない!
今回も信頼と実績のワインネーションさんで、ソーヴィニヨンブランの品種検索して購入しました。
一般的なソーヴィニヨン・ブランの品種特徴
まずはChatGPT先生に、一般的な特徴をまとめてもらいました。
ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)の特徴
- 原産: フランス(ロワール地方、ボルドー地方)。
- 外観: 若いうちは緑がかった淡い黄色。
- 香り:
- ハーブ系: 刈り取ったばかりの芝生、ミント、トマトの葉(ピラジン)。
- 柑橘系: グレープフルーツ、レモン、ライム。
- トロピカル系: パッションフルーツ、グアバ(温暖な地域)。
- その他: 猫のおしっこ(チオール)、火打石(フュメ香)。
- 味わい:
- 酸味が非常に高く、フレッシュでキレがある。
- 基本的にはドライな辛口。
- 樽熟成させると、クリーミーさやスパイス感が加わる(フュメ・ブランなど)。
これを踏まえた上で、各産地のワインを見ていきましょう。
イスラエルのソーヴィニヨン・ブランをテイスティング
最初からなかなかレアな産地ですが、近年イスラエルのワインが非常に良くなってきています。
イスラエルを代表するゴラン・ハイツのワインで、味わいをしっかり確かめていきましょう。
ゴラン ハイツ ワイナリー ヤルデン ソーヴィニヨン ブラン [2023]
イスラエル北部のゴラン高原、冷涼な気候と火山性土壌を持つこの地で作られるヤルデン。 「中東=暑い」というイメージを覆す、エレガントなワイン産地です。
一部フレンチオーク樽で熟成させているとのことで、その影響がどう出るか注目です。

外観は非常に淡いペールイエロー。輝きがあり、若々しさを感じます。
香りはフレッシュなリンゴを少しつぶしたようなアロマが主体で、白~黄色の小さな花。紅茶の香りも豊かで非常にクリーン。やや冷たさを感じる鉱物的なニュアンスもある。一方でピラジンは一切感じられない。
テイスティングしてみるとアタックは軽やかで、酸味は伸びがある。旨苦みもあり、おそらくシュールリーしていると思われた。香りのニュアンスも含めると、低温でのスキンコンタクトが長く、香りと若干の果皮タンニンが出ている可能性も考えられた。
余韻はやや長く、蜜っぽさのある花の香りが最後に残る。印象は相当リースリングに近い。間違えやすい品種の筆頭はリースリング。ただし中盤から感じる旨苦みは、リースリングでは滅多に行わないシュールリー由来の特徴だと思うので、これらを総合的に判断してソーヴィニヨンブランを選択する必要がある。
イタリア アルト・アディジェのソーヴィニヨン・ブランをテイスティング
こちらもソーヴィニヨン・ブランとしてはマイナーな産地。
アルト・アディジェのワインは程よく冷涼感もあり好きですが、ソーヴィニヨンブランはどうでしょうか?
トラミン ソーヴィニョン [2023]
イタリア最北端、アルプス山脈の麓に位置するアルト・アディジェ州。 標高350〜550mの急斜面で栽培されたブドウを使用しています。 ここは「山のワイン」として、ミネラル豊かな白ワインの産地として有名です。
いくつもの種類の土壌が合わさる畑で作られていて、ステンレスタンク熟成。ダイレクトに果実の味わいが出るタイプです。早速テイスティングしていきましょう。

外観は緑を帯びたレモンイエロー。サラサラしていて明るく輝きを帯びている。
香りは豊かで、しっかりとしたグリーンノート。他と比較してややスパイシー。柑橘、リンゴのフレッシュな香りとレモングラス、火打石、ガンパウダーの香りがある。
アタックは軽快で伸びやかな酸味。中盤から塩味もしっかり感じられるが、これはコハク酸揺らいだろうか。終盤には旨苦みも感じられ、余韻はきりっと切れていく印象。全体として軽快なワインで、豊かな酸味と旨苦みにより、口中をキュッと引き締める仕上がりになっている。
迷わずにソーヴィニヨンブランにたどりつける香りと味わいであったが、これをイタリアに持っていくのは相当に難しい。塩味もあるため「海沿いの産地」として考えてしまいそうだ。明確に冷涼気候っぽさはあるので、新世界も選択しにくい。産地で迷った場合に、イタリアという選択肢を忘れないようにしたい。
アメリカ ワシントン州のソーヴィニヨン・ブランをテイスティング
マイナーなところが続きます。今度はカリフォルニアよりも冷涼な、ワシントン州のワイン。
シャトー サン ミッシェル コロンビア ヴァレー ソーヴィニヨン ブラン [2023]
アメリカと言えばカリフォルニアですが、より北に位置するワシントン州も重要な産地。 日照時間は長いですが、夜間は急激に冷え込むため、酸が綺麗に残ります。
丸石が散らばる砂質の堆積土壌。十分に日光が当たり温暖で、強い風が吹くというテロワールのようです。
大手生産者であるシャトー・サン・ミッシェルが作る、スタンダードな一本を試してみます。

外観は輝きと透明感のあるライトイエロー。ごくわずかなグリーンを感じます。
香りはアロマティックで、リンゴを中心とした果実の香りと、比較的わかりやすいパッションフルーツ。メロンの香りもわかりやすく感じる。レモングラスの香りもあって、ややグリーンハーバルな香り。野菜的なピラジンっぽさもごくわずかに感じ、ソーヴィニヨンブランを疑うことのできる要素が多数感じられる。スイカズラ的な花香もある。
プチプチとした泡を感じる口当たりで、アタックは程よい。リンゴ酸的な直線的な酸味があり、ボリューム感はそこまでなく、全体としてはクリーンでエレガントな印象。飲み込んだ後の余韻では、ソーヴィニヨンブランらしい植物の茎っぽい香りも感じることができる。
酸のテクスチャーはオーストラリアのリースリングに近いが、香りをしっかり拾っていくと相違点が多いため、注意すれば間違えることはなさそう。一方でいわゆるソーヴィニヨンブラン的な強いグリーンノートは少なめなので、集中してテイスティングする必要がある。
フランス ロワール地方のソーヴィニヨン・ブランをテイスティング
ここからはソーヴィニヨン・ブランの聖地、ロワール地方の3本を飲み比べます。
「プイィ・フュメは春のようで、サンセールは夏のようだ」という言葉が有名ですが、微妙にニュアンスの違うプイィ・フュメ、サンセール、ムヌトゥー・サロンを飲み比べ、しっかりと差を取っていきましょう。
シャトノワ ムヌトゥー サロン ブラン [2023]
サンセールの西側に位置するムヌトゥー・サロン。 土壌はサンセールと同じく、牡蠣の化石を含む「キンメリジャン」土壌です。 サンセールの弟分的な存在で価格は若干安いですが、品質は侮れません。
石灰質が豊富なテロワールで、リュット・レゾネ(減薬農法)で育てられたブドウ。古樽で熟成するスタイル。
しっかりとテイスティングしていきましょう。

外観は淡いレモンイエロー。 緑を一滴だけ落としたような色調もあります。粘性は程よいレベル感。
果実の香りは柑橘系が中心で、レモンやライムの皮のような爽やかさがある。しかしそもそも果実の香りは抑制が効いている感じで、根菜的な香りの方が目立つ。ややフェノリックな香りも感じられ、日光をよく浴びたような印象も。例によってグリーンノートは抑えられているが、よく香りを取るとソーヴィニヨンブランらしいパッションフルーツを思わせる香りが若干ある。個人的には、アルネイスによく感じるオリーブ感もあるように思った。
アタックはマイルド。酸のテクスチャーはサンセールと似ているが、ワントーン小ぶりな印象。余韻に若干の旨苦みにも似た感触を感じる。
他のロワール山地よりも果実の香りが1~2段低く、果実味以上に他の要素が立つ。そのため、個人的にはアルネイスと間違える可能性が高いと思った。よく見ると外観色が違うため、限られた時間の中でもすべての要素を見落とさないことが重要。
それにしても2023年のロワールは本当に難しい。やや早熟なヴィンテージだったらしいので、余計にグリーンノートが落ちているのかもしれない。
ドメーヌ デュ ノゼ サンセール ブラン [2023]
兄貴分のサンセール。 ドメーヌ・デュ・ノゼはビオディナミを実践する生産者で、テラコッタのアンフォラなども使用するこだわり派です。
サンセールらしい貝殻やシレックス土壌の畑で、ミネラルに富む味わいとのことですが、果たして・・・?

外観は輝きのある美しいイエロー。 やや粘性を感じ、成熟度の高さがうかがえる。
香りの第一印象はフレッシュリンゴで、フルーツフォワードなバランス。あとからミツ感のあるスイカズラが追いかけてくる。濡れた石のようなミネラルを感じて緊張感のある香り。ソーヴィニヨンブランらしいグリーンハーブの香りは多少あるが、ピラジンはほぼない。香りだけだとシャブリと言われても納得してしまいそう。多少チオールの主張があるので、そこをうまく取れないと間違えそうだ。
アタックも優しく、酸味もひと昔前のサンセールのように直線的に主張してくるわけではなく、丸みのあるテクスチャー。中盤からややうまみも感じられる。余韻でもリンゴや洋ナシの香りが中心的で、なかなかソーヴィニヨンブランと断定するフックが無い。
ブラインドでは熟したシャルドネと間違えそう(というか、2025年のヴィノカップでシャルドネと間違えた(笑))。酸味の主張がシャルドネより強いので、トータルのバランスを慎重に判断して、品種を決める必要がありそう。
ドメーヌ タボルデ プイィ フュメ [2023]
ロワール川を挟んでサンセールの対岸に位置するプイィ・フュメ。 数種類の土壌がありますが、タボルデの畑は石灰質。
リュット・レゾネ(減薬農法)で、ほとんど化学薬品を使わずに作られたワイン。低温で2か月かけてじっくり発酵させているとのことです。

外観はあまり緑を感じないレモンイエロー。粘性はほどほどと言った感じ。
主体となっているのはフレッシュリンゴの香りですが、サンセールに比べるといくぶんマイルド。冷たさを感じるミネラル感はありますが、ジャキジャキに感じるわけではなく、奥にずしっと構えている感じ。数回スワリングすると乾燥ハーブの印象も出てくる。
アタックは程よいが酸量は多く、舌をまっすぐに通っていくような爽やかな酸味。やや丸さを感じるサンセールとは違う印象を感じる。余韻はやや長く、飲んだ後に上ってくる香りにパッションフルーツを感じる。唐揚げを作るときのように、片栗粉をまぶして油で揚げた香りのような、メラノイジンみたいな香りもあるけど、これは醸造工程だと思う。
やはりソーヴィニョンブラン特有のグリーンノートがほぼないタイプで、考察のとっかかりがとても少ない。サンセールよりもややパッションフルーツや酸が感じやすく、この辺りでソーヴィニヨンブランをイメージしていきたい。酸味に着目するとリースリングとも間違えそうだし、パッションフルーツを見落とすとシャルドネにも行ってしまうかもしれないので、一つ一つの要素を丁寧に取っていく必要がある。
ソーヴィニヨン・ブランのテイスティングを行ったまとめ
産地による違いを見分けるポイント
今回飲み比べてみて、産地ごとのキャラクターがどんどん変わっていっていることがわかりました。
- ロワール(サンセール/プイィ・フュメ): とにかくミネラルと酸が主役。石灰や火打石のニュアンスを探す。ピラジンは探さない。
- イタリア(アルト・アディジェ): 標高の高さを感じる、透明感のあるハーブ香と鋭い酸。
- ニューワールド(NZ/チリ/イスラエル): パッションフルーツやグアバなどのトロピカルフルーツ香が顕著。ピラジンが目立つものが多い。
ブラインドテイスティングでのヒント
ソーヴィニヨン・ブランを探すときは、まず「緑の香り(ピラジン)」を探しますが、近年のワインメイキングを考慮すると、それだけだと不十分だとわかりました。
「どの種類の緑か?」を突き詰めるのがポイントかもしれません。
- 芝生・ハーブ: 涼しい産地(ロワール、北イタリア)
- トマトの葉・ピーマン: 少し完熟度が低い、または冷涼なニューワールド
- トロピカルフルーツ: 温暖なニューワールド
今回のテイスティングで、ソーヴィニヨン・ブランの奥深さに改めて気づかされました。
皆さんもぜひ、産地ごとの飲み比べを試してみてください! 面白かったらコメント欄で教えてね!



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