大好きな産地 フランス ブルゴーニュ地方について、深い知識を学びたいのでヴィノテラス ブラッシュアップ講座を受講しました!
ブルゴーニュは価格高騰が激しく、うかつに手を出せる産地ではなくなってしまいましたが、ヴィノテラスなら講座を受けつつ6種類のワインがテイスティング可能。
ワインのチョイスも絶妙なので、ワインエキスパート合格後のステップアップにはもってこいです。
ヴィノテラスは自宅にワインが届き、動画配信で小刻みに受講できるため、私と同じく仕事や子育てで忙しい世代にはオススメできます。
2025年 ブラッシュアップ講座の記事 |
ワインメイキング編 ボルドー編 ロワール・アルザス・ジュラ・サヴォワ編 シャンパーニュ編 ブルゴーニュ編 南フランス全域編 |
それでは、講座の中で気になった事項をご紹介します。
※講座の大部分はブルゴーニュのテロワールについて細分化した解説でしたが、それをご紹介すると講座内容の漏洩になってしまうので、それらはご紹介しません。
ブルゴーニュ地方の温暖化と味わい
他の産地と同じく、ブルゴーニュ地方も温暖化の影響を強く受けています。
油断すると果実は過熟してしまい、アルコール度数は16%程度まで簡単に増えてしまうのです。
それにともなって味わいは変化してきており、昔はフレッシュな柑橘やリンゴの香りだったのが、現在は熟したリンゴ~洋梨の香りになることもしばしば。
全体的に果実味が豊かで酸味はマイルドになってきています。
そんな中で、注目を浴びているのが「アリゴテ種」と「オート・コート・ド・ニュイ地方」。
アリゴテ種は従来は酸味が強すぎて低評価でしたが、温暖化によってほどよい果実味が生まれ、評価を上げてきています。
オート・コート・ド・ニュイ地方は気温が低すぎて果実が安定的に成熟せず、従来は評価がよくなかったのものの、現在はほどよい冷涼気候で伸びやかな酸味が評価され始めています。
いずれも昔ながらのブルゴーニュワインを体現しており、注目が集まってきているワインです。
ブルゴーニュワインの異常な価格高騰の背景
近年、全般的にワインの価格高騰が激しいですが、特にブルゴーニュ地方のワインは異常なまでに値上がりしています。
これについて、「中国が買い漁っているせいだ」「投資家が買っているからだ」など、様々な声が聞こえてきます。
実際にそれらは正しい面もあるのですが、最も大きな要因ではありません。
ブラッシュアップ講座ではこの点についても話してくれ、価格高騰に一番寄与しているのは、「フランスの税が高すぎること」であると教えてくれました。
フランスでは、土地の資産価値(土地代だけでなく、そこから製造されるワインの売上高なども含めたもの)に対し最大45%の相続税がかかります。
これは私がネットで得た情報ですが、例えばシャトー・ラトゥールのオーナーが特級畑を買収した際は、日本円にして300億円もの相続税を支払ったそうです。

これを10年で回収しようとすると、1本あたり8万円の価格増になる計算とのこと(笑)
それに加え、フランスでは固定資産税も非常に高く、こちらもとんでもない金額に。
全て合わせると、とんでもない価格増になってしまうのは計算しなくてもわかりますね。
そう、ブルゴーニュワインの異常な価格高騰は、投資家や中国人の影響によるものではなく、フランス政府によるものだったのです。
ブルゴーニュ地方のナチュールワインについて
こちらは同じ講座を受講したフォロワーさんから質問をいただきました。

今回のテイスティングアイテムで、マコンの白とボージョレの赤ワインがナチュールだと思いました。典型的なスタイルではないですよね?

典型的な昔ながらのスタイルではないですね。
でも、ブラッシュアップ講座の受講者であれば知っておきたいスタイルだと感じます。
出されたアイテムについて、1種類だけご紹介しますね。

やはりワインについて理解するためには、それぞれの産地の典型的なスタイルから勉強していくのがベターだと思います。
それゆえ、「ナチュールだと品種特徴が分かりにくいから、講座で出すのはどうなの?」という意見はとてもよく理解できます。
これについて、あくまでも私の考えですが細かく解説したいと思います。(講師の意図を正しく理解されたい方は、ヴィノテラスさんに質問してください(笑))
ブルゴーニュ地方の典型的なワインは、試験対策講座でだいたい勉強し終わっている
ワインエキスパートの二次試験において、シャルドネは頻出品種です。
シャルドネについては世界各国のスタイルを学習することも必要です。そしてフランスでも樽のかかっていないタイプと、樽のかかっているタイプの2通りはかならず勉強する必要があります。
この時、樽のかかっていない代表的なものはシャブリで、樽のかかっている代表的なタイプはコート・シャロネーズやマコンのものとなります。
そして二次試験のテイスティング能力という意味では、ブルゴーニュの樽のかかり具合を判別できるかどうかが、樽の識別能力のボーダーラインとなるため、何度も練習することが求められます。

アメリカのシャルドネくらい強く樽がかかっているのは誰でもわかるよね。ブルゴーニュの優しい樽香を判別できるかが重要なんです。
つまり資格試験時点で、マコンの典型的なタイプ(ややふくよかでソフトに樽をかけているシャルドネ)は十分に学習をしていることになります。
ブラッシュアップ講座はワインエキスパートの次の段階ですから、このようなマコンの典型的ワインが出なくても納得できます。
ナチュール(ビオディナミ)の生産者は近年増えてきている
ここではナチュール=ビオディナミとして解説しますが、近年のブルゴーニュ地方ではビオディナミの生産者が増えてきています。
それには次の2つの理由があると考えています。
- 温暖化対策
- 生物多様性の確保
順番に解説しますね。
温暖化対策
前述したように、近年は温暖化が社会問題になっています。
ブルゴーニュ地方も例外ではなく、従来の製法だとアルコール度数が16%以上になることが普通にあります。
しかしこれでは、ブルゴーニュらしい繊細な酸味は感じられなくなってしまいます。
そこで、温暖化対策としてビオディナミ農法を取り入れる生産者が増えてきています。
※なぜビオディナミが温暖化対策になるのかを科学的に説明しきるのは難しいですが、現実的にビオディナミで作るワインは繊細な酸味がイキイキしています。

信じられないと言う方は、フィリップ・パカレのワインを飲んでみてください。言っている意味が分かると思います。

実際に、温暖化のせいで品質低下に苦しんでいたアルザス地方では、ビオディナミを取り入れることで品質が劇的に復活しました例もあります。
温暖化に対応するにはビオディナミというのは、近年よくある手段なのです。
生物多様性の確保
ソムリエ協会のセミナーで習いましたが、ブルゴーニュ地方は長らくワイン生産に特化してきたため、農薬散布などの影響で微生物の多様性が絶望的に低いそうです。

近年でこそ薬剤最小化の動きがあるけど、昔はガンガン使っていたからね・・・。
微生物の多様性は土壌のポテンシャルに直結するため、ビオディナミ農法によって多様性を復活させようという動きが増えてきています。
このような背景もあり、ブルゴーニュ地方とナチュールワインは切り離せなくなってきているのです。
ソムリエ・ワインエキスパートであれば、昨今の事情を鑑みてブルゴーニュのナチュールワインは一定程度理解しておいた方が良いと考えられます。

僕としては、このような事情を考えるとナチュールワインを教材として取り扱っても良いと思っているよ!

ただし、ワインエキスパート試験の対策講座で出されたら違和感を感じます(笑)
受講した感想
ブルゴーニュワインは価格が高く、自分で購入するとなると失敗できません。
そのため、ついつい「おいしいとわかっているワイン」「好みのワイン」に手が出がちです。
ブラッシュアップ講座では、しっかりと講師が吟味してくれた「特性を理解しつつおいしく飲めるワイン」を出してくれるので安心して受講できました!
また、ソムリエ教本ではわかりづらいテロワールの特性を、生の声で体系的に話してくれるので頭の中が整理できました。
「生ガキにはシャブリ・・・というのはワイン業界がみなさんについている大ウソです」などとハッキリ言ってくれるので、大変参考になりました。
そして相変わらず、2時間以上の講義を細切れにして学習できるのでとても助かりました。

子育てで忙しかったけれど、会社のお昼休憩などに小分け学習できたよ!
ヴィノテラス ブラッシュアップ講座を簡単に紹介
ヴィノテラスワインスクールが提供しているブラッシュアップ講座。
ヴィノテラスワインスクールが提供している学習順序の3番目にあたり、ソムリエ・ワインエキスパート有資格者やWSET2以上を対象にしています。

今回は2025年3回目の講義であるロワール・アルザス・ジュラ・サヴォワ編を受けたので、講義の内容をご紹介します。
かなりカバー範囲が広いですが、講師のヤン先生が重要なポイントに絞って解説してくれるため、深い理解をすることができました!
アーカイブ動画で学習すれば負担もなく学習できるのでおすすめでした。
次に何を勉強するか迷っているワイン好きの皆さんにとって、ブラッシュアップ講座はとても良い選択肢だと思います!
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