ワインのラベル(エチケット)っていろいろ書いてあるけど、何が書いてあるかわからなくないですか?
私は昔「『シャトー◯◯』と書いてあるワインで美味しいものがあったから、シャトーって書いてあるものを選べばいいんだ!」と思ってました。(笑)
今となっては恥ずかしい思い出です。
例えばボルドー地方はほぼ全てのワインに「シャトー○○」と書いてありますからね。(笑)
この記事を読むと、メジャーなエチケットが読めるようになり、ワインから情報を読み取れるようになりますよ。
エチケットに書いてある情報は旧世界と新世界で異なる
まず注意していただきたいのは、エチケットの記載は旧世界と新世界で結構違うという点です。
旧世界と新世界の違いはこちらで解説しています。
一般に、新世界のエチケットは品種名などが書いてあってわかりやすいものが多いです。
ただしやはりルールはヨーロッパをもとにしているものが多いため、今回は原点となるヨーロッパのエチケット記載法について解説していきます。
旧世界(ヨーロッパ)のエチケットについて解説
EUワイン法のラベル表示
EUワイン法では必ず記載しなければいけない事項(義務記載事項)と、書いても書かなくても良い事項(任意記載事項)に分かれています。
エチケットを読む際に重要なものから順番に解説していきますので、飽きたら途中で読み飛ばしていただいても結構です。
必ず記載する必要のある事項(必須記載事項)
アルコール度数
これは確認している人がほとんどだと思いますが、アルコール度数は必ず記載します。
アルコールが高ければもちろん酔いやすいので、そのあたりも気にして欲しいポイントではありますが、ワインの場合さらに重要なのは、アルコールは味わいにかなり関わっているということです。
詳細はこちらにまとめていますのでご覧ください。
簡単にいえば、アルコールが高いとワインのアタックが強くなってフルボディに近くなり、逆に酸味は控えめになるということです。
酸味が苦手な方やフルボディが好きな方は、アルコールが高めなものを選ぶと良いでしょう。
ワインの場合は平均が12.5%程度ですので、これよりも高いか低いかで考えると、味わいのイメージがつきやすいです。
原産国
これもわかりやすいと思いますが、原産国は味わいに直結します。
例えば、かなりざっくり言うと以下のような傾向があります。
・フランスはイタリア、スペインと比べて酸味が多く、繊細なものが多い。
・イタリアは太陽をたっぷり浴びて果実味豊かなものが多い。
・スペインはガッチリした体格と果実味・樽の香りが豊かなものが多い。
などの特徴がつかめます。
瓶詰業者名
有名なところでは、ブルゴーニュであればドメーヌ、ボルドーであればシャトーの記載があります。
そのほかの国や地域でも、ドメーヌや会社名が記載されています。
同じ原産地の同じ品種でも、造り手によって大きく差が出ます。
星の数ほどの業者がいるため、ビギナーにはとっつきにくいポイントですが、見るクセをつけておくと後々味わいがイメージしやすくなって、ワインを選びやすくなりますよ。
(スパークリングワインの場合)残糖量
スパークリングワインの場合は、ワイン中に糖分が残っていることが多いです。
※日本で売られているほとんどの赤・白ワインは、ワイン中に糖分がほぼ残っていません。
糖分の量は飲みやすさに大きく影響するため、見ておくと良いですよ。
と言っても、「○○g/L」のような記載があるわけではなく、EUの規定に基づいて「糖分が○○~△△g/Lだったら、××という分類にする」と決められていて、実際のワインに記載されているのは××の部分のみです。
そのため、ビギナーの方は味わいをイメージすることができません。
ざっくり言えば「BRUT(ブリュット)」と書いてあれば辛口、「SEC(セック)」と書いてあれば甘口ととらえておけば大丈夫です。
※「Extra BRUT」のように、前や後ろに別の単語がついている場合もありますが、BRUTとあれば全て辛口という認識でOKです。
以下の記事に細かくまとめているので、気になる方は見てみてくださいね。
ちなみにビギナーの方には甘口をおすすめします。
単体で飲んでも飲みやすいですし、デザートと一緒に飲むといい感じですよ。
A.O.P.とI.G.P.ワインはその表記と名称
A.O.P.はEUの格付で最も上のランク、I.G.P.はその次のランクです。
A.O.P.は細かく製造条件が決められているため、一般的にはI.G.P.よりも美味しいものが多いです。
ただしA.O.P.でも美味しくないものは多く、I.G.P.でも美味しいものはいくらでもありますので、参考程度に留めておくのが良いでしょう。
あくまで「国が一定の基準をもとに判別しているだけ」ととらえておきましょう。
製品カテゴリー
ステイルワイン(普通の赤白ワイン)やスパークリングワイン、酒精強化ワインなどが書いてあります。
お店の場合であれば、値札の辺りに書いてあるはずですので、エチケットよりもそちらの方が見やすいかもしれません。
内容量
これは見ればすぐわかると思います。
ほとんどの場合750mLです。
日本ワインは720mLなことが多いです。日本酒の4合瓶と揃ってますね。
書いても書かなくても良い事項(任意記載事項)
原料のブドウ品種
意外かもしれませんが、味わいに最も影響するはずのブドウ品種については、書かなくて良い決まりになっています。
単一品種であれば書いてあることも多いですが、ブレンドをラベルに書いているのは少ないです。
年によってブレンド比率を変えているので、書きにくいのかもしれませんね。
(ブドウの出来栄えが変わっても、極力同じ味わいになるように、製造のプロが吟味して1%単位でブレンドを調整しています。)
値札付近にも書いてないと思いますので、気になったらネットで調べると良いでしょう。
余談ですが、スマホがAndroidの場合、ワインを調べる際は画像検索がおすすめです。
エチケットが写るように写真を取り、Googleフォトアプリを起動。
Googleレンズで調べるとすぐに出てきます。
収穫年(ヴィンテージ)
これも意外なことに、収穫年も味わいにかなり影響するものの、書かなくて良い決まりになっています。
ただしこちらはほとんどのものが書いてあるため、それほど気にしなくて良いでしょう。
スパークリングワイン以外の残糖量、AOPやIGPのシンボルマーク、生産方法に関する記述
これらは気にする必要がほぼないです。
「書くこともあるのか」程度に認識しておきましょう。
実際のエチケットを見てみよう!
ブルゴーニュワイン
表面
これを見てわかることは以下の通りです。(プロはもっといろんなことがわかりますが、割愛。)
・ピノノワールというブドウ品種なので、酸味が豊かで渋みは弱め。エレガント系。
・フランスのピノノワールなのでたぶんミディアムボディくらい。
・造り手が有名人&ブドウもしっかりしたものを使用⇒高品質と思われる。
ちなみに左上の顔は、造り手さんが「このワインはこういう表情だな」とイメージしたものを描いているようです。表現力がすごいですね。
飲んでみると本当にそんなイメージがしてくるのですごいです。
裏面
表面に比べると、結構細かい情報が載っていますね。
アルコールが13%と、ブルゴーニュの中では中の上くらいの度数で、ちょっぴりボディがしっかりしてそうだ。などはわかります。
ビギナーのうちは、製造方法を細かく読む気にはなれませんね。(笑)
ボルドーワイン
表面
これを見て以下のようなことがわかります。
・メドック地区の格付けに入っているので、かなり高品質と思われる。
・A.O.C.マルゴーなので、フルボディだが女性的でちょっと甘い風味みがありそう。
・フルボディだが、2013年収穫なのでちょっと渋みが弱まり飲みやすくなってそう。
裏面
こちらも裏面は細かい情報が多いですね。
ワインは平均アルコール度数が12.5%くらいなので、「ほんのり強めかなぁ」くらいのことはわかりそうです。
ワインのエチケットを読む まとめ
ワインのエチケットには選ぶための情報が満載なので、ルールを覚えてスマートに選べるようにしましょう!
今回は以下の3点だけ覚えてもらえれば大丈夫と思います。
・旧世界はブドウ品種が載っていないので、A.O.P.を見て選別しよう。すぐには味のイメージがつかなくても、おいしかったA.O.P.を覚えておけば次選びやすい!
・ドメーヌやシャトーを見てワインを選ぼう。おいしかったら次も同じ造り手の違うワインを選べばOK!
・わからなかったらスマホでエチケットを撮ってGoogleレンズで画像検索しよう!
実際にエチケットを読んだワイン
アンヌ フランソワーズ グロ ブルゴーニュ ルージュ
ブルゴーニュのスター生産者であるアンヌ・フランソワーズ・グロのエントリーワインです。
ブルゴーニュ地方の中での格付けとしては最下位の地域(リージョナル)格付けですが、実際には高級ワインを数多く生産するポマール村のブドウ100%で作られていて、明らかに格付けを超えた味わいが楽しめます。
シャトー カントナック ブラウン
ボルドー地方で最も有名なメドック地区の格付けにおいて、3級に入っている有名シャトー。
途中、運営がうまくいかず荒廃していた時期もあるようですが、20世紀終盤に本格的に再建が進み、品質が急激に向上。
このような背景から、品質の割にお手頃に飲めるワインとして知られています。
いかがでしたか?
ワインのエチケットが読めると選ぶ際に失敗しにくくなるのはもちろんですが、「何に着目してワインを飲めばよいのか?」が明確になり、飲むのが楽しくなりますよ!
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