毎年秋はソムリエ・ワインエキスパートの二次試験が行われます。
二次試験はテイスティングのため、味覚・嗅覚のコンディション調整も試験のうち。
また比較的時間に余裕のある一次試験と違い、二次試験はとにかく時間に終われるため、事前のイメージトレーニングが重要です。
今回は当日疑問に思うことやトラブルついてまとめました。
疑問を事前に解消しておければ当日の時間的余裕が生まれ、トラブルを事前に想定しておければ焦りをかなり減らせます。
受験予定の人はぜひ最後まで読んでいってください。
ちなみに資格試験の全体像は別記事で紹介していますので、こちらの記事をご覧ください。
二次試験について事前に知っておくべきこと
解答用紙ってどんなイメージ?
白ワイン・赤ワイン用のテイスティング用語が一覧になった紙と、回答用マークシートが渡されます。
用語を見ながら、当てはまると思った用語の番号をマークシートに記入していきます。
(例:外観「①淡い」「②やや淡い」「③やや濃い」「④濃い」⇒マークシートの②を塗る のようなイメージ)
このとき、マークシートを塗りつぶして良い数はワインごとに異なるため注意してください。
例えば白ワイン①の香りは4つマークシートを塗る。白ワイン②の香りは6つ塗る。赤ワイン①は5つ塗る・・・のようになっています。
塗っていい数よりも多く塗ってしまうと、その設問が0点になるので絶対に注意しましょう。
また、緊張のあまり「赤ワインのコメントをしているのに、白ワインの用語を見ている」という人が毎年いるようです。
用語は赤ワイン・白ワインで両面印刷になっているので、自分が今どちらを見ているのかは必ず確認しましょう。
試験会場の室温はどれくらい?
テイスティングしやすくすることを目的にしているので、20℃前後に設定されています。
外から部屋に入ると結構ひんやりとしているので、羽織れるものがあった方がよいです。
11月くらいに着る服をイメージしましょう。
ワインの提供温度はどれくらい?
会場にもよりますが、ネットでのコメントを見る限りではちょっと低めが多そうです。
私の受験時は白赤ともに12-14℃くらいで、白ワインはともかく赤ワインの香りが少し取りにくい印象でした。
ただでさえ緊張で香りが取りにくくなっているため、グラスを持つ時はしっかりとボウルを持つようにすることをおすすめします。
ハードリカーの提供温度はどれくらい?
私の受験会場では常温でした。おそらく全ての会場でそうだと思われます。
テイスティングする順番はどうすれば良い?
ソムリエは白ワイン1~2種、赤ワイン1~2種、ハードリカー2種が提供され、
ワインエキスパートは白ワイン2種、赤ワイン2種、ハードリカー1種が試験に出ます。
例えばワインエキスパートであれば、白ワイン2種⇒赤ワイン2種⇒白ワイン2種(再確認)⇒赤ワイン2種(再確認)⇒ハードリカーという順にしましょう。
前述したように、当日のワインは割と冷えていて香りが取りにくいことが多いです。
かならず2回テイスティングし、香りが開いた状態まで確認するようにしましょう。
また、ワインのテイスティング(2週目)が終了するまでハードリカーは触らずにおいておきます。
ハードリカーの香りを一度でも嗅いでしまうと鼻が効かなくなり、まともにテイスティングできる状態では無くなります。
全てが終了し、最後の5分間くらいになってからハードリカーのグラスに初めて触る、くらいがベストです。
ワインのおかわりはもらえる?
もらえません。最初に注がれたワインだけでテイスティングしましょう。
口直しの水のおかわりはもらえる?
私の会場ではもらえましたが、ネットで見る限りもらえない場合もあるようです。
基本的にはおかわりできないと考えておきましょう。
口直しの水を節約したい場合、少量を口に含んですすいでから飲み込むのを2回繰り返せば、かなり口中をリセットできます。
テイスティングしたワインは吐き出した方が良い?
吐器はあるのでどちらでも良いですが、テイスティング練習時と同じ方法で本番を行いましょう。
吐くか飲むかで、アルコールのボリュームや酸味、収斂性の感じ方がかなり変わります。
テイスティング練習を始める前に、自分は飲むスタイルで行くか吐くスタイルで行くか確定させ、決めたスタイルで練習し続けましょう。
「前回は飲んだから、今回は吐いて練習。」というのは絶対にNGです。資格を取ってからゆっくり練習してください。
ハードリカーに水を加えても良い?(アニス系の判別)
2020年くらいの参考書を見ると、「アニス系のハードリカーは水を入れると濁る」と書いてあるものがほとんどです。
ただし、2022年時点で水を入れる行為が禁止事項になりました。
水を入れることに頼らず、基本通りアニス香を取って判別しましょう。
試験の時短テクニックを教えて!
利き手と反対側の手でワイングラスを持って、テイスティングする練習をしておきましょう。
意外と見落としがちですが、マークシートを塗るのは結構時間がかかるため、利き手は常に鉛筆を持っています。
毎回ワイングラスと鉛筆を持ち換えているそれだけでかなりの時間を消費します。
利き手と反対側でテイスティングできれば、数分~5分くらいの時短効果がありますよ。
前日と当日の過ごし方はどうすれば良い?
前日から食事や飲み物には気を付けるようにし、においや刺激の強いものは避けましょう。
優しい和食がおすすめです。
また当日の歯磨きは試験開始の4時間前までには終わらせましょう。
「当日は歯磨き粉を使わずに歯を磨こう」と指導している人もいますが、個人的にはいつも通りの方が良いと考えています。
そのかわり早めに済ませてしまい、その後口に入れるものは水だけにしておけば問題ないです。
試験前日にたくさんお酒を飲むのもやめましょう。
追い込みしたい気持ちはわかりますが、飲みすぎた翌日は香り・味わいが感じにくくなります。
二次試験当日に起こるトラブルと解消方法
試験に出たワインの状態が良くない場合はどうすれば良い?
事前にワインの状態を試験官が確認していますので、ひどいブショネなどは考えにくいです。
また、ワインの状態に異常があると思われる場合、挙手して試験官に確認してもらうことができます。
ただし軽い劣化ワインで試験が行われる可能性はゼロとは言いきれないため、もし当たってしまった場合は運が悪いと諦め、難しいですが「劣化の要素を排除したコメント」を心がけましょう。
テストの選択肢に劣化のコメントもありますが、間違えてもこれは選ばないようにしましょう。確実に0点の選択肢です。(例:「酸化が進んだ」など)
鼻水で鼻が詰まった場合はどうすれば良い?
まず著しい体調不良や、明らかにコロナやインフルなどの感染症であれば、当然ですが受験はやめましょう。
でも鼻が詰まったぐらいであれば、なんとか受験したいですよね。実は私も試験当日にひどい鼻水でした。
鼻が詰まって香りが取りにくい場合、以下のことを行うようにしましょう。
試験官に事前に説明し、鼻をかむティッシュの使用許可をもらう。
※私の場合、カンニング対策として使用するティッシュを全て確認されました。確認していないティッシュは使えませんので、多めに用意しておきましょう。
香りを取る直前に鼻をかむのはやめる。
やってみるとわかりますが、鼻をかんだ直後は鼻水特有のにおいがします。鼻をかむ⇒落ち着くまで外観を確認⇒香りを取る のように、鼻をかんだ後一呼吸落ち着きましょう。
もともと取りづらい香りは思い切って諦める
鼻が詰まっていることを踏まえ、弱い香り(花やぺトロール香など)を探すことは諦め、メインとなる果実や樽香を集中して探すようにしましょう。
弱い香りを探しすぎると、鼻水のノイズに惑わされてコメントの方向性を間違うリスクがあります。
ワインの香りを嗅ぎすぎて鼻が麻痺したらどうしたら良い?
人間の体は刺激に対して慣れるようにできており、例えば果実の香りを嗅ぎ続けると数分後には香りを感じにくくなります。
そのため、ワインの香りを連続で嗅ぎ続けると最初と最後で嗅覚に大きな差ができ、結果が変わります。
これを避けるため、一定時間香りを取ったら違う香りを嗅ぎましょう。
おすすめなのは指のにおいを嗅ぐことで、明らかにワインとは異なるにおいのため、鼻がリセットできます。
※においの強いハンドクリームをつけていると鼻がマヒしますので、試験中は何もつけないようにしましょう。
「鉛筆の香りでリセットした」という人もいましたが、鉛筆はちょっとミネラル香や木の香りがするため、避けた方が良いです。
近くの席ににおいのきつい人がいたらどうすれば良い?
極端に香水や化粧品のにおいがきつい場合は試験官にこっそり報告してください。
ただし、多少の体臭はあってもしかたありません。
運悪くそのような人に当たった場合(私もそうでした)は、香りの取り方を少し工夫するとかなり改善できます。
香りをとるときは、グラスに鼻を深く突っ込んで5秒くらい息を止め、鼻の回りを香り成分で満たしてから香りを取ると、ワインの香りだけを感じやすいです。
二次試験に遅刻しそうになったらどうすれば良い?
公共交通機関の遅れや天災で遅刻する場合は急いで試験会場に電話しましょう。試験会場一覧の書類に電話番号の記載があります。
私的な理由で遅れる場合は認められないため、絶対に遅刻しないようにしましょう。
厳しいですが、おもてなしをするための資格を取ろうとする人が遅刻をするというのはあり得ないので、それも試験の一環だと考えてください。
絶対に遅刻はやめましょう。
二次試験は一次試験以上に緊張してしまうもの。あらかじめトラブルを想定しておき、当日焦らないようにしましょう。
読者のみなさんの合格を心から祈っています!
(合格したら教えてください。そしてワイン仲間になってください!)
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