ソムリエ・ワインエキスパート資格の二次試験はブラインドテイスティング。
基本的には「きちんとテイスティングコメントを書く能力があるか?」を確認する試験なので、品種・生産地は正解しなくても受かります。
しかし近年は受験者のレベルも上がり、できれば正解しておきたいのも事実。
そこで、どうやってブラインドで品種と産地を当てるか、具体的なメソッドを解説します。
テイスティングの行程ごとに、ワインエキスパートの思考方法を解説していくよ!
今回は「シャルドネ」について解説します。
なお、シャルドネの中でもアメリカのシャルドネは全く別物なので、そちらは分けて解説しています!
白ワインは赤ワインに比べて難易度が高め。でも丁寧にやれば品種は正解できるよ!
味覚・嗅覚は人によって差があるため、今回の解説が全員に当てはまるわけではありませんが、考える道筋として参考にしてください。
↓品種別ブラインドテイスティング解説はこちら
シャルドネの基本情報
名称 | ムロン・ダルボワ、オーセロワ |
外観 | グリーンがかったレモンイエローorイエロー |
香り | 柑橘、りんご、桃、ヘーゼルナッツ |
味わい | 爽やかな酸味 |
見分けるポイント | 外観・香り・アルコール度数 |
世界中で栽培されているシャルドネは、白ワインにおいて最も重要な品種のひとつと言えるでしょう。
ニュートラル品種と呼ばれ、ブドウ自体の個性が少ないため判別しにくく、二次試験に出る品種の中では難易度が高いです。
外観、香り、味わい全て特徴を捉えづらく、最後まで悩み続けて品種を導きだすことが重要です。
生産地ごとの製法もしっかり覚えておくことで、正答率が上がりますよ。
シャルドネをブラインドで当てる方法
シャルドネは、二次試験に出る品種の中では最も判別が難しい品種の一つです。
外観、香り、アルコール度数を正確に感じ取り、コメントがずれないように注意しつつ、知識を軸にして判断するようにします。
そのためには、練習の時点で様々な比較テイスティングを行って感性を磨くことが重要。
次のような順序をお勧めします。
- STEP1アロマティック品種との比較
リースリングなどのアロマティック品種と比較し、香りの総量がどの程度違うのかを把握する。
- STEP2製法の比較
木樽熟成とステンレスタンク熟成を比較。まずはシャブリとアメリカの木樽で違いを知り、徐々に木樽の匂いが少ないものを試していく。
- STEP3産地の比較
冷涼~温暖な産地のステンレス熟成ワインで比較を行い、柑橘⇒リンゴ⇒桃と、感じられる果実が変化することを理解する。
- STEP4ニュートラル品種との比較
ミュスカデ・甲州などと比較し、シュール・リーや塩味を感じられるようにしておく。余裕があればアリゴテと比較し、酸味の差を理解する。
それでは、実際に出題されたときの絞り込み方法を見ていきましょう。
外観(色調)を確認する
二次試験の白ワイン外観は、明らかに濃いイエローか、それ以外かを最初に確認しましょう。
試験に出るほとんどの白ワインは①に該当し、シャルドネも①となるため、外観では絞り込めません。
アメリカのシャルドネの場合は②のため、こちらは容易に判別ができます。
③の色調は日本の甲州などが該当する色調。透明感が強いので選択肢から外しましょう。
外観をよく確認して①であれば、次にレモンイエローかイエローかをよく確認します。
レモンイエローのシャルドネであれば冷涼な産地の可能性が高く、イエローであれば温暖な産地もしくは木樽熟成の可能性が考えられるからです。
この時点では、品種を絞り込むことはしません。
香りを確認する
香りで最初に考えるべきは、香りの強弱。
いきなり鼻を近づけるのではなく、グラスから15cmほど離れたところで香りを確認します。
このとき、リースリングなどのアロマティック品種であれば、明らかに強い果実や花の香りがします。
一方、シャルドネのようなニュートラル品種では、柑橘など一部の果実がやや香る程度。
前述したように比較テイスティングで練習しておけば、判別は可能です。
この時点で、ニュートラル品種に絞りこんでいきます。
この時点で候補として残す品種:シャルドネ、ミュスカデ、甲州、アリゴテ
続いて、シナモン、クローブ、バニラ、ココナッツといった木樽の香りがあるかを確認しましょう。
これも事前の練習が重要です。
試験に出るニュートラル品種の中で、木樽の香りがするのはほぼシャルドネに限定できるため、木樽の香りが確認できればラッキー。
木樽の香りがない場合でもシャルドネの可能性は引き続き高いため、しっかりと味わいを確認していきます。
味わいで確認
味わいでまず確認すべきは、シュール・リーの有無です。
シュール・リーがなければ、甲州とミュスカデは除外することができます。
シュール・リーの確認方法は、旨味を舌で感じとること!
具体的には、舌の奥の方~中央に意識を集中して飲むと、飲み込んだあと少ししてから苦味にも似た感覚が弱く広がります。
これが旨味ですが、化学調味料(アミノ酸など)を普段から大量に接種していると判別できないため、試験前はできるだけ避けるようにしておきましょう。
この時点で候補となる品種:シャルドネ、アリゴテ。
再度香りと味わいを確認し総合的に判別する
アリゴテであれば、基本的に果実の香りは柑橘のみ。やや青リンゴを感じるくらいで、木樽は使っていません。
また、アルコール度数は12.5程度となります。
一方でシャルドネのアルコール度数は12.5~13.5%とやや幅がありますが、概ねアリゴテより高い傾向です。
さらにシャルドネは香りから感じる果実の幅が広く、産地にもよりますが柑橘・リンゴだけではなく桃の香りもあります。
香りから感じる果実の種類は産地の気温によって変わるため、下記の図を覚えておいてください。
また、アリゴテは酸味が非常に豊富なため、飲んだ後に舌の裏側から唾液が多く出ますが、シャルドネはアリゴテほど強くないため、唾液量も中程度です。
これらを総合的に考え、シャルドネかアリゴテかを決定します。
迷ったらシャルドネと回答しよう!アリゴテは出題頻度が低いよ!
シャルドネの特徴がわかるワイン
試験上、特に覚えておきたいのはフランス(シャブリ)・フランス(コートシャロネーズ or マコン)日本のシャルドネです。
それぞれの特徴がわかるワインを比較テイスティングし、練習しておきましょう。
フランス(シャブリ)の特徴がわかるワイン
シャブリには①特級畑・一級畑のブドウを使った木樽熟成するタイプと②村名のステンレス熟成タイプ の2種があります。
試験に出るのは②のタイプなので、ステンレスタンクのもので練習しましょう。
②のワインは、果実の香りの成分として柑橘とリンゴのみ。
ルイ・ジャドのシャブリは果実のキャラクターが非常にわかりやすく、シャブリらしいミネラルと花の香りがあるのでおすすめです。
当サイトでもレビュー記事を作成していますので、テイスティングコメントなど参考にしてください。
フランス(マコン)の特徴がわかるワイン
ブルゴーニュ南部に位置するマコン地区では、果実の熟度が高くなり、洋ナシやモモといった甘い果実が香りの中心になります。
また木樽熟成を行うことも多く、ワインからほのかに木樽由来の香りがするため、この地方の木樽の香りを感じ取れるかどうかが非常に重要な分かれ道となります。
アメリカほど極端ではないから、慣れてないと木樽を見落とすよ!
アルコール度数はシャブリよりも0.5~1%高めなので、全体的にリッチになります。
日本の特徴がわかるワイン
日本のシャルドネは、アルコール度数は12.5%と低いわりに香りからはモモの果実を感じるという、ユニークな特徴があります。
また、優しい酒質の割にしっかりとした木樽が香るものも多いです。
普段からアルコールのボリュームと香りのバランスをとらえるように練習しておき、日本と判断できるようにしておきましょう。
ブラインドテイスティングを鍛える方法
ブラインドテイスティングを鍛える方法は、なんといってもブラインドテイスティングをたくさん行うこと。
ブラインドで飲むことにより、少しでもワインから情報を得ようとするクセをつけましょう。
たくさんの種類をブラインドで練習するには、ヴノテラスのブラインドセットが最もコスパが良かったです。
少し値は張りますが、回答用紙や講師の模範解答も届き、本番さながらのテイスティングをすることができます。
ただしブラインド小瓶セットは二次試験が近くならないと販売されません。
それまでの間は下記のような品種別ワインのハーフボトルセットをお勧めします。
シャルドネの模範回答
最後に、シャルドネと思われるワインが出題された場合に選ぶべき、オススメの回答をご紹介します。
シャルドネは難易度が難しいため他の受験生も間違える可能性が高く、いかにテイスティングコメントで確実に点を稼ぐかが重要になります。
下記の模範解答なら品種を外しても合格点が狙えるため、しっかり覚えておきましょう。
外観のおすすめ選択肢
項目 | 表現 |
清澄度 | 澄んだ |
輝き | 輝きのある |
色調 | グリーンがかったイエロー |
濃淡 | やや濃い |
粘性 | やや強い |
印象 | 若々しい、成熟度の高い |
香りのおすすめ選択肢
項目 | 選択肢 |
第一印象 | 開いている、フレッシュな |
特徴 | 果実:柑橘、青りんご、リンゴ 花:スイカズラ 香辛料 他:石灰、貝殻 |
印象 | 若々しい、ニュートラル |
味わいのおすすめ選択肢
項目 | 選択肢 |
アタック | やや強い |
甘み | まろやかな |
酸味 | 爽やかな |
苦み | 穏やかな |
バランス | スムースな |
アルコール | やや強め |
余韻 | やや長い |
総合評価のおすすめ選択肢
項目 | 選択肢 |
評価 | 成熟度が高く、ゆたかな |
適正温度 | 8~10℃ |
グラス | 中庸 |
収穫年 | 2年前 |
ブラインドで品種を当てるには、テイスティングで答えにたどり着くための型を持っておくことが重要です。
今回の解説を読みながら、いろいろな地方や製法のシャルドネを飲んでみてくださいね。
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