今回は憧れの産地、ボルドーにあるポムロール地区の「シャトー ラフルール ガザン」をレビューしていきます。
今回レビューするワインはこちら!
初心者へのオススメ度
単純なおいしさと、用途を含めたコスパの両方でオススメ度を出しています。
おいしさ:65(高品質なワイン)
コスパ(7,480円):50/100点(おいしいけど、価格相応!)
合計:115点
今後、熟成によっておいしさが上がりそうです!
ラフルール ガザンの特徴
レビューの前に、ラフルールガザンの特徴をみていきましょう!
産地の特徴
このワインの産地はポムロール地区という、ボルドーの中でも高級ななワインが多い産地として知られています。
ここはメルローという品種のブドウを中心に栽培している地域で、これを使った高級ワインが多いです。
格付けで有名なメドック地区は暖かい産地のため、カベルネ・ソービニョンというブドウが多く栽培されていますが、ポムロール地区はやや冷涼なため、カベルネ・ソービニョンが成熟しない年もあります。そのため、早く成熟するメルローを中心に栽培しています。
メドック地区のように格付けは有りませんが、シャトー・ペトリュスやシャトー・ル・パンのように、一本100万円を越えるワインが有名です。
この地区は地面に鉄分を多く含んでおり、この土壌で育ったメルローは熟成によってとても不思議な香りを持つようになり、実にエレガントな味わいになることが知られています。
ポムロール地区の熟成ワインには、この地区特有のなんとも言えない魅力がありますが、
これは特徴的な土壌の影響によるものです。
造り手(J.P.ムエックス)の特徴
このワインはJ.P.ムエックスという会社が作っていますが、この会社は前述のシャトー・ペトリュス(メルローというブドウのみからなるワインとしては、世界最高級のワイン。)を手掛けており、メルローの達人と言われています。
特に長期熟成した際のメルローのポテンシャルについて早くから見抜いていたと言われています。
ムエックス社は他にも有名なシャトーをたくさん所有しており、例えばシャトー・ラフルール、シャトー・トロタノワ、シャトー・オザンナなどを手掛けています。
ボルドー右岸と言えばムエックス!というイメージですね。
ボルドーの中央を流れるジロンド川に対し、東側を右岸、西側を左岸と言います。
左岸はカベルネ・ソーヴィニョンというブドウが主で、メドック地区の格付けシャトーが有名。右岸はメルローというブドウが主で、ポムロール地区やサンテミリオン地区が有名です。
作り方の特徴
ポムロールのワインですので、やはりメルローを中心に作られていますが、20%程度カベルネ・フランという品種もブレンドしています。
またヨーロッパ産の樫の木でできた樽を使用して18~20ヶ月も熟成しており、ローストした木の香りもほどよくどっしりと香ります。
年によっては100%メルローの年もあるようですが、2013年についてはこのようなアッサンブラージュ(調合)でした。
ブドウの成熟度合をしっかり見極めて、ブレンド比率を変えているということですね。
ラフルール ガザンのテイスティングコメント(上級者向け)
外観はすんだ輝きのあるやや明るいオレンジがかったガーネット。粘性はやや強く濃淡はやや濃い。
香りは開いていて、熟したブラックベリーを中心にブラックチェリー。非常に優雅な牡丹となめし革、ナツメグと甘草を感じ、樹脂のニュアンスも。
アタックは強く、ビロードのようにシルキーなタンニンを感じる。酸味は豊かで非常にエレガント。
余韻は長く、高いポテンシャルを感じるが、さらなる熟成のポテンシャルを感じさせる。
ビギナー向けの解説
外観
ワインはしっかりと濃い紫色で、きれいに澄んでいます。
縁の部分がオレンジになっていることから、熟成が始まっていることがわかります。
グラスを回すとグラスについた液がゆっくりと滴り落ち、アルコールもそれなりに高いことがわかります。
香り
香りはしっかりと立っていて、グラスに注ぐと鼻を近づけなくても優雅に香ります。
濃い赤ワインに特有な、ブラックベリーやブラックチェリーといった黒い果実の香りが最初にします。
香りを取ると、フレッシュな果実というよりは熟した果実のようなほんのり甘い印象を受けるため、果実の成熟度も高いと思われます。
花の香りもしっかりと漂い、大きな花を嗅ぐように、気品のある香りが漂います。
熟成がかかっているので、皮製品のような香りも漂ってきて、さらに木の樽由来のナツメグや甘草といった香辛料の香りもしてきます。
また、若干ではありますが樹脂のようなツンとした香りのニュアンスもあります。2割ほどカベルネ・フランというブドウが混じっているので、その影響かと思います。
味わい(アタック)
アルコール度数もしっかりとあるため、アタックは強めです。
10年ほど熟成しているため、渋み成分であるタンニンが少しずつ小さくなってきていて、しっかり渋いというわけではなく、さらさらと流れていくような渋さです。
酸味も酸っぱいと感じるものではなく、丸みのある酸味という印象です。
飲み込んだ後も口のなかで味や香りがしっかりと残ります。余韻はワインの格を示すといわれておりますが、丁寧に作られていて、格式高さを感じます。
総評
ポムロールのワインとしては安価な部類ですが、さすがはポムロールという感じで、10年も熟成されているのにまだまだ熟成によって味わい深くなっていくような、高いポテンシャルを感じました。
今飲んでしまったのでコットンポイントは60点となりましたが、さらに10年程度寝かせれば、さらに味わい全体がまとまってきて、60点台後半に届きそうです。この先がとても楽しみなワインです。
ラフルール ガザンと料理のマリアージュ(合う料理)
熟成によるまとまりが出始めていますが、まだ若さを感じるワインです。そのため、ところどころ主張してくる渋みや酸味を活かして合わせるのが良いと思います。
例えば焼き肉でカルビやホルモンと合わせるなどすれば、脂の甘味と熟成の丸みが良い感じに合わさりつつ、わずかに主張してくる酸味や渋みが、口のなかに残る脂を洗い流してくれるでしょう。
ワイン単独でも十分楽しめるような奥行きがありますので、ナッツ類や生ハム・サラミ程度の軽食と合わせるだけでも満足できると思います。
ワインをメインに楽しむ場合、少人数でゆっくり飲むなら普通に開け、短い時間で飲むのであれば、飲む30分~1時間ほど前にコルクだけ抜いておき、少し空気に触れさせておくと香りが立ってくるのではないかと思います。
ラフルール ガザン オススメの使用シーン
贈答用としても十分に活躍してくれるポテンシャルを秘めたワインです。
特にワインをある程度知っている方であれば「ポムロール!?」とリアクションしてくれるのではないでしょうか。
また、自宅で焼肉をする際などに開けてもよいと思います。
一方、熟成したワインのためオリ(アントシアニンという物質による沈殿物)があり、これが振動で舞い散ってしまうと香りや味わいのバランスが取れなくなってしまいます。
外でBBQをする場合などは相当気を付けて輸送するか、持っていかないのが無難でしょう。
紹介したワイン
さすがはポムロール!高級過ぎないため、このくらいのヴィンテージでも熟成の味わいを感じられますし、ここからさらにおいしくなりそうでした。
オススメできるワインです。
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