
ロワール地方って試験に1~2問しか出ないくせに、覚える内容多すぎない?

それでもロワールは学習しないといけないよ!効率的な方法を教えるね!
ソムリエ・ワインエキスパート試験で鬼門となるのが、フランス ロワール地方だと思います。
ブルゴーニュ地方やボルドー地方と違って配点が低い割に、覚えるA.O.C.の数は膨大で、品種・製法・ワインの種類もバラバラ。
いっそのこと、ロワール地方は飛ばしてしまった方が効率がいいようにも思われます。
しかし、これはNG。
ロワールのワインは二次試験の出題頻度も高く、是非覚えておきたい産地のひとつです。
今回は独学の人向けに、ロワール地方の学習方法を解説します。
ロワール地方の独学はまず全体感をつかんで効率的に行う
ロワール地方を独学で学ぶ際は、いきなり細かな暗記に走らないように注意する必要があります。
ロワールは無数にA.O.C.があるだけではなく、ブドウ品種や生産可能色がバラバラで、非常に覚えにくいからです。
また暗記に走ってしまうと、ロワールという地方を大きな枠でとらえられず、以降の勉強にも悪影響が出ます。
そのため、まずはロワール地方の全体感を見ていきましょう。
まずはA.O.C.以外のロワール地方基本情報を覚える
意外と忘れがちなのが、場所の情報。
簡単にいえば、ボルドーのやや北に位置する河口付近から、ブルゴーニュやボージョレに隣接する上流が連なっている地方です。

ボルドーやブルゴーニュを学習した人なら、ここまで聞いただけでも気候がイメージできるのではないでしょうか?
ボルドー、ブルゴーニュに連なる川沿いの地方なので、河川の距離は非常に長く1000km以上もあります。
これだけ長い距離にまたがる産地のため、当然気候・地質は一様ではなく、その影響で様々な品種から様々なスタイルのワインが作られています。
ちなみに歴史好きな人なら、ジャンヌダルクが捉えられたオルレアンなどがある地方と言えば記憶に残りやすいでしょうか。
ロワール地方の気候やブドウ品種の全体感を理解する
ロワール地方の個別A.O.C.を覚える前に、全体感として気候とブドウ品種を掴んでしまうと楽です。
厳密にいうと違うところもありますが、ざっくりこんな感じでまずは捉えましょう。
地区 | 気候 | 黒ブドウ | 白ブドウ |
ペイ・ナンテ地区 | 海洋性気候 ⇒暖かい | なし | ミュスカデ |
アンジュー・ソミュール地区 トゥーレーヌ地区 | 海洋性気候と 大陸性気候の間 | カベルネ・フラン | シュナン・ブラン |
サントル・ニヴェルネ地区 | 大陸性気候 ⇒寒暖差が大きい | ピノ・ノワール | ソーヴィニヨン・ブラン |
実際には、アンジュー・ソミュール地区は海洋性気候に分類されます。
ここまで全体感を整理してから、個別A.O.Cを覚えていくと迷子になりにくいです。
優先順位をつけてロワールの個別A.O.C.を覚える
さて、ここまでで全体感はなんとなくわかりました。
今、あなたの頭にはロワール地方の骨組みだけが出来上がっている状態です。
ここから、試験に出そうなところを順番に肉付けしていきましょう。
ロワール地方の最重要A.O.C.を紹介!絶対に覚えて!
ここで挙げるA.O.C.は、二次試験に出る可能性のあるワインたちです。
またワインショップや飲食店で出会う確率も高いため、これらを知らないとワインエキスパートとしてはちょっと苦しいです。
品種や生産可能色は絶対に覚えましょう。

かなり数を絞ったから、繰り返せば覚えられるよ!
地区名 | 最重要A.O.C. |
ペイ・ナンテ地区 | ①ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ |
アンジュー・ソミュール地区 | なし |
トゥーレーヌ地区 | ①ヴーヴレ ②ブルグイユ ③モンルイ・シュール・ロワール ④シノン |
サントル・ニヴェルネ地区 | ①サンセール ②プイイ・フュメ |
まず、ペイ・ナンテ地区はミュスカデ・セーブル・エ・メーヌだけです。これだけ覚えましょう。
次にアンジュー・ソミュール地区は、特に広域の半甘口ワインが重要ですが、他のA.O.C.よりはやや優先度が落ちるのであえて「なし」としました。
トゥーレーヌ地区が少し覚える場所が多く、赤はカベルネ・フラン、白はシュナン・ブランを覚える必要があります。これらは二次試験対策にも役立ちます。
サントル・ニヴェルネ地区は赤白生産可能ですが、特に白ワインが重要で、二次試験に出るフランスのソーヴィニヨンブランは、ここに挙げたどちらかから出題されます。
これらの地区は、二次試験で出てくる品種の有名産地であるため、ブドウ品種・製法・生産可能色を確実に覚えます。
具体的には、二次試験でミュスカデが出た場合はほぼ確実にミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌですし、やや確率は低いもののトゥーレーヌ地区のシュナン・ブランが出る可能性もあります。
サントル・ニヴェルネ地区は何といってもソーヴィニヨン・ブランの代表的な産地であり、ニュージーランドのマールボロと同じくらい頻出です。

これらのA.O.C.を覚えておくと、二次試験対策になるよ!
また赤ワインでも、シノンのカベルネ・フランは二次試験対策に必須で飲んでおいていただきたいです。
つまり、どの地区でも試験対策に重要なワインが生産されており、しっかりと理解しなければいけません。
一方、ボルドー地方は一次試験では3問程度出題されますが、二次試験には絶対に出題されません。
このことからも、ロワール地方の重要性がわかっていただけるのではないでしょうか。

例えばミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌなら、「シュール・リー」を付記できる条件なども覚えておくと良いよ!
ここに挙げたA.O.C.は暗記必須です。

7個だから、頑張って覚えよう!
ロワール地方のできる限り覚えておきたいA.O.C.を紹介
地区名 | 最重要A.O.C. |
ペイ・ナンテ地区 | なし |
アンジュー・ソミュール地区 | ①ロゼ・ダンジュー ②カベルネ・ダンジュー ③クーレ・ド・セラン |
トゥーレーヌ地区 | サン・ニコラ・ド・ブルグイユ |
サントル・ニヴェルネ地区 | なし |
ここに挙げたA.O.C.は、二次試験に出ることはまずありませんが、過去に一次試験で出題されたことのある品種です。
またロゼ・ダンジューは生産量もそれなりに多く、店頭でも見かける機会が多いため、覚えておいて損はありません。
クーレ・ド・セランやサン・ニコラ・ド・ブルグイユは、高品質ワインとして有名です。

クーレ・ド・セランはモノ・ポール(単独所有)という特徴もあるので、出題しやすいよ!
それぞれ特徴のあるA.O.C.なので、できるだけ覚えておきましょう。
ロワール地方の例外的なA.O.C.を覚える
ロワール地方は例外の宝庫です。
例えば、基本的にソーヴィニヨン・ブランを生産する地区なのに、シャスラを生産しているなど、特徴的なA.O.C.がいくつもあります。
問題を作る側からすれば、こういった特徴のある場所は出題しやすいため、覚えておきたいところです。
特に下記のA.O.C.を覚えておきましょう。
地区名 | 最重要A.O.C. |
ペイ・ナンテ地区 | なし |
アンジュー・ソミュール地区 | なし |
トゥーレーヌ地区 | クール・シュヴェルニィ |
サントル・ニヴェルネ地区 | プイイ・シュール・ロワール |
ここで挙げた2つは、いずれもロワール地方の中で特異的なブドウ品種を使用して作られるワインです。
クール・シュヴェルニィのロモランタンはできれば覚えておきたいですが、特にプイイ・シュール・ロワールはしっかり覚えておきましょう。
プイイ・シュール・ロワールは、プイイ・フュメとほぼ同じ場所ですが、シャスラを使用して作られたワインに適用されます。
ブドウ品種と製法で名前が変わるという特徴があるので、高頻度で出題されています。
ちなみにブルゴーニュ地方のプイィフュイッセとは異なるので、分けて覚えておきましょう。
ロワールの地質も覚えておこう
A.O.C.以外にも、ロワールは地質に関する問題がよく出ます。
たとえばサントル・ニヴェルネ地区のカイヨット、テール・ブランシュ、シレックスはワインの味わいや価格にリンクするため頻出となっています。
その他にも、アンジュー・ソミュール地区のトゥファは重要です。
ペイナンテ地区は火成岩や変成岩土壌ですが、地質について問われることはまずありません。

土壌とワインの味わいは、科学的には証明しきれていないよ。

でも、経験豊かなテイスターは土壌の違いを感じ取れる人もいるため、やっぱり違いはあると思う!
土壌については、試験的にはあくまで「土地の特徴」程度にとどめておき、ワインの味わいとリンクさせない方が良いでしょう。
独学だとどこまでも覚えなければいけない気がしてしまうのがロワール地方ですが、まずはここに挙げた要素を覚えられるまで、勉強してみてくださいね。
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